家族になると夫婦としての自分がもう思い出せない
――パートナーに選んだ相手のはずなのに、なぜ一番本音が言えない相手になってしまうんでしょうね(笑)。
そうですよね。家族としての日常生活もある中で、性生活についてあえてふたりで真面目に話し合うって、よほど関係性が良くないと難しくて。ましてやレスのふたりがそういう話をするのは、相当厳しいと思いますよね。
――周りを見ても、セックスレスの夫婦はすごく多いと思うんですが、おぐらさんはこの作品を描いて、こんなにも日本でセックスレスに悩む人が多い理由は、どこにあると感じますか?
やっぱり、単位が家族になっちゃうからかなと思いますね。そうなると、夫婦としての自分が思い出せないぐらいになってしまって。家族として行動していると、夫婦よりも家族が大事になって、夫だけとコミュニケーションを取る時間がほとんどなくなりますよね。
日本には、シッターさんに子どもを任せてふたりでデートみたいな文化もあまりないじゃないですか。そういう意識がベースにあるのかもしれないですね。
――「家族を守るべき」という価値観のほうが強い気がしますね。
そうなんですよね。だから、いざ子どもが修学旅行や友達の家に行って夫婦でふたり残されたら、何を話していいかわからないみたいな瞬間、ありますよね。
――あります。コロナ禍で急にふたりで在宅勤務になって、「どうしよう、気まずい」みたいな(笑)。
いきなり毎日一緒ですからね。しんどいですよね(笑)。
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取材・文/川辺美希 撮影/竹花聖美