家族になると夫婦としての自分がもう思い出せない

――パートナーに選んだ相手のはずなのに、なぜ一番本音が言えない相手になってしまうんでしょうね(笑)。

そうですよね。家族としての日常生活もある中で、性生活についてあえてふたりで真面目に話し合うって、よほど関係性が良くないと難しくて。ましてやレスのふたりがそういう話をするのは、相当厳しいと思いますよね。

――周りを見ても、セックスレスの夫婦はすごく多いと思うんですが、おぐらさんはこの作品を描いて、こんなにも日本でセックスレスに悩む人が多い理由は、どこにあると感じますか?

やっぱり、単位が家族になっちゃうからかなと思いますね。そうなると、夫婦としての自分が思い出せないぐらいになってしまって。家族として行動していると、夫婦よりも家族が大事になって、夫だけとコミュニケーションを取る時間がほとんどなくなりますよね。

セックスレスは夫以外の相手を見つけても解決はしない。『私の穴がうまらない』で描きたかった満たされない心_6

日本には、シッターさんに子どもを任せてふたりでデートみたいな文化もあまりないじゃないですか。そういう意識がベースにあるのかもしれないですね。

――「家族を守るべき」という価値観のほうが強い気がしますね。

そうなんですよね。だから、いざ子どもが修学旅行や友達の家に行って夫婦でふたり残されたら、何を話していいかわからないみたいな瞬間、ありますよね。

――あります。コロナ禍で急にふたりで在宅勤務になって、「どうしよう、気まずい」みたいな(笑)。

いきなり毎日一緒ですからね。しんどいですよね(笑)。

#2 レス解決にセクシー下着はいらない

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セックスレスは夫以外の相手を見つけても解決はしない。『私の穴がうまらない』で描きたかった満たされない心_7
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取材・文/川辺美希 撮影/竹花聖美

『私の穴がうまらない』(KADOKAWA)
おぐらなおみ
セックスレスは夫以外の相手を見つけても解決はしない。『私の穴がうまらない』で描きたかった満たされない心_8
2020年2月28日
1155円(税込)
単行本 160ページ
ISBN:978-4-04-064309-0
『レタスクラブ』連載で話題の”レス”夫婦コミック、待望の単行本化! 心と体にぽっかりとあいた、満たされない「穴」はどうすればいいの? それぞれの”レス”をほろ苦く描く、フィクションコミックエッセイ! フリー編集者のハルヒは、夫・マサルと中学生の娘・アラタの3人暮らし。気づけば夫とは何年も”レス”状態が続いており、虚しさを抱えていた。現代の夫婦の在り方をじわりと問うリアルな展開に読者騒然! レス夫婦の行きつく先は、離婚か、それとも…?
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