性の話を一番したくないのが夫
――夫の転勤で夫婦が離れて暮らすのをきっかけに、ちょっとずつ状況が変わっていきますよね。
このふたりは一回、離れた方がいいなと思ったので、夫を転勤させることにしました。そこで初めてハルヒは夫の希望を拒否して、夫もそれを受け入れて、じゃあ別々に住んでみようかっていうことになる。そして夫婦ってなんだろう?って本気で考え始める、それを描きたかったんですよね。
――ハルヒは自立した女性のように見えますけど、実は自分を抑え込んで、夫に従っていて。そこで初めて夫婦間で意思を通すという経験ができたわけですよね。
ここは描いていて、「よく言えたね」っていう感じでした。離れて暮らしてそのまま別れてしまう可能性もあったと思うんですけど、そうではなく、やっぱりお互いを大切に思ってるっていうことを自覚できたんですよね。
――性の問題って、どちらかが強くて、片方が従えばいいという問題ではなくて。お互いが自分を大切にした上で寄り添えるんだということが伝わりました。
本当にそうなんですよね。でも、そういう話し合いを一番したくないのが、夫じゃないですか(笑)。性のことを夫婦で話したくないから、それが問題が長引く原因になって。他の人には言えても、夫とふたりで「こういうふうに思ってる」って話しにくいし、そこで拒否されたら、これからどうやって生活していけばいいんだろうって思うから、難しいですよね。ここで絶望したら、もう行き場所がないですから(笑)。