選挙を通してわかる候補者の「向き合い方」
――いまのお話は2022年7月の参院選にて、大阪選挙区にお二人が密着された際の出来事ですが、大阪に密着した理由は?
P 大阪選挙区で「立憲民主党候補を支援する特命担当」だった菅直人さんが、日本維新の会に対して物申すツイートやメッセージを発信されたことに興味を持ったんですよね。
D 要は、大阪で絶大な人気を誇る維新に噛みついた菅さんが、一体どんな演説をするのか、どんな反応があるのかが知りたいと。
P それで純粋な興味で密着したら……。
D 最初は菅さんも色々話してくれたのに、その後に立民内の情勢が変わったせいなのか、他の事情なのかは察するしかないですが、後半は演説が終わったら「ドナドナ」みたいに、菅さんがスタッフに車に連行されるようになっちゃって(笑)。
P 菅さんは話したそうなのに、演説が終わるとスタッフが僕らをブロックするように、菅さんを引き剥がして。それで、ここ最近の立憲と維新の共闘路線維持の布石は、ここにもう打たれてたんだなと改めて思ったり。それも含めてドキュメントですね。
――その映像も含め、「直接候補者に話しにいく」というのが、お二人の行動原理であり、この映画の肝だと感じました。
P 基本的にはどの候補者にも同じような質問しかしてないんですよ。「手応えはどうですか?」みたいな。そこで解答を誤魔化すのか、面倒くさそうに応対するのか、ちゃんと答えてくれるのか……「どういう反応か」で、そこから見えるものがありますよね。
D 政党の意識もそこには見えますよね。候補者に話を訊いた直後に、選挙スタッフが「許可とってるんですか!」みたいに言ってくる政党もあったり。公共の場で、国政に向かうための選挙演説してるのに、それを撮影したら「許可をとってください!」と言われたのは衝撃でしたね。しかも、実際にスタッフが許可取りの連絡をしたら……。
P まったく何の音沙汰もない(笑)。それから、僕からの質問には答えるのに、ダースさんの質問には答えない候補者とか。そういう部分からも「向き合い方」がわかります。
D あと、鹿島さんは候補者へのインタビュー中に「ハイ、ハイ」って相槌を打つんですけど、あれは、鹿島さんが噛みつくタイミングを伺ってると思ってるんですよ。
P ハイ、ハイ……ガブッ!って(笑)。四国新聞への質問も含めて、そこで引き出した言葉が映画の伏線になってたりするんだなと、自分でも思いましたね。
D その意味でも、直接話すことで知ることができたり、「人と人」だからわかること、人となりが伺い知れるという、貴重な機会だと思うんですよね、選挙は。
P 僕もダースさんもやっぱり「人」に興味があるんですよね。「こいつは右」「あいつは左」「〇〇党だから」みたいな感じで片付けようとする人がいるけど、「そのひと個人はどうなのか」を絶対見たほうがいいと思うんですよね。選挙戦ではそれが可能だからこそ、なおさらで。そこらへんも映画で感じてほしいです。
取材・文/高木“JET”晋一郎 撮影/下城英吾
#2「菅義偉の人生相談はグラドルの女優宣言」 芸人とラッパーが“話芸”で政治を身近にする理由とは
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