史上初となる漫画家国会議員・赤松健が実践したい“漫画外交”が成し遂げるもの_1
TVアニメ、劇場版アニメ化もされた赤松先生の代表作『魔法先生ネギま!』は、海外でも高い人気を誇る
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1998年に連載開始、2000年にはTVアニメ化もされた『ラブひな』を皮切りに、『魔法先生ネギま!』『UQ HOLDER!』と連載コミックが立て続けに大ヒットした赤松健。自著コミックスの発行部数は全世界で累計5000万部超を記録する。

つまり、過去によくあった、食い詰めたフリーランスが政治家に転身したわけではなく、「国際的に名が知られている現役漫画家」という社会的ポジションを獲得した上に、さらに “日本初のストーリー漫画家出身政治家”として歴史に名を残すことになったのだ。そんな赤松氏に漫画家という天職を小休止してでも政治家の道を歩もうとした理由を語ってもらった。

比例区全国トップとなる52万8053票の原動力とは

初出馬で比例区全国トップの約53万票という結果を導き出せた要因は、自身でも「わからない」と言う。

「特定の支持団体があれば、票数がある程度読めるんですよ。でも、漫画家の僕の場合はそうではなかったので、まるで票数が読めなかった。すごい不安でしたし、選挙の途中でそんなに良い状況じゃないっていうのは、なんとなく理解していて。

実は当初、100万票を目標にしていたんです。“#赤松健100万票プロジェクト”という公式応援ハッシュタグがあったんですけどメディアの情勢調査などで、『とてもそんな得票数はとれないどころか、当落選上にいる』という状況が判明し、途中で取り下げたんです。振り返っても、これは本当に恥ですね。

でも、取り下げた時に『あ、赤松、本当にやばいんだ』って、みんなが思ってくれたみたいで、その後、すごく支持率が伸びたんです。こういう動きが積み重なってウェーブができて、波の最上部にいた時に、タイミングよく選挙日が来たって感じがします」

そういって微笑んだ赤松氏だが、少し厳しい顔をしてこう続けた。

「確かに比例区でトップ当選しましたが、あくまでも投票結果だけですから。これは本当にすぐ崩れる砂の城。しっかり結果を出さないと離れていってしまう数字だと思っています」

そう謙遜した赤松氏だが、女性アイドルグループ、元SPEEDの今井絵理子氏や片山さつき氏といった、同じ自民党の比例区出馬の先輩議員よりも高い得票数を獲得。このことは、2016年6月より適用された「18歳選挙権」が大きく関わっていると感じる。

「何をやっているのかわからない政治家」よりも、「ネットで話題になっている人」や「見たことのあるアニメの原作者」「いつも読んでいる雑誌に連載していた作家」の方が身近に感じられる世代やサブカルファン。彼らに向けたSNS上での選挙活動が、功を奏したと言えるだろう。

史上初となる漫画家国会議員・赤松健が実践したい“漫画外交”が成し遂げるもの_2
参院選最終日にTwitterに投稿された「最後のお願い」。この動画に心動かされ、赤松議員に一票を投じた有権者も少なくなかった