なぜか財布のひもが固くなるのは、
無計画な旅ゆえの不安感からか
そしてもう一軒が、栃木レザーを使った革バッグ専門店のSLOW。
東京の自由が丘や神奈川の鎌倉にもショップがあるブランドで、そちらでは買い物をしたことがあるのだが、町屋をリノベーションしたという京都店をいつか訪ねてみたいと思っていたのだ。
思ったとおり、店内はとても良い雰囲気だった。
ちょっといいショルダーバッグを見つけ、かなり心揺らいだのだが、やっぱり今回はパス。
もう少し考えて、オンラインストアか自宅近くの自由が丘のショップで買います。
と心の中でつぶやいて退散した。
って、いろんな店に行ってるけど何も買わんのかい! 冷やかしは困りますねーお客さんという声が聞こえてくるようだ。
日常からの開放感によって、旅先で散財する人が多いと聞くが、僕の場合は逆なのだ。
なぜか車中泊旅の間は、普段より財布のひもが固くなる。
これ、どういう心理によるものなのかな?
無計画な旅ゆえに、この先、どんなアクシデントがあって思わぬ出費があるかもしれない、という不安が心の枷になっているのだろうか。
そういう意味ではこの僕も、扁桃体優位な現代日本人らしい特性を持っているのかもしれない。
これから先の旅のお供になる文庫本を購入
最後に訪ねたのは、100000tアローントコという変わった名前の中古レコード&古本のショップ。
小さいお店ながら、レコードも本もレアものが豊富に揃えられていて、東京から来たサブカルオヤジ(僕のことです)を興奮させるお店だった。
だけど相変わらず財布のひもは緩まず、30分ほど吟味した挙句、どうしても諦めきれなかった文庫本を2冊だけ購入した。
我ながら、どうにもならないほどの渋ちんだ。
買ったのは、赤んぼ大将シリーズやコロボックルシリーズなどで有名な童話作家、佐藤さとるの童話集『てのひら島はどこにある』と『コロボックル物語④ふしぎな目をした男の子』だ。
僕の車中泊旅はこの先、夜眠る前に佐藤さとるのファンタジーワールドに浸ることで、より一層豊かなものになるのであった。
つづく。
写真・文/佐藤誠二朗