闇バイトにおける暴力団組織のリスク管理

「パチンコ屋は再び地元のヤクザに頼み、彼らは闇バイトを斡旋する中国人に、“出ているふりをして打ってくれるヤツを集めろ”と依頼する。集めた中国人には一日打って出した玉のうち、25%くらいを給料として渡す。ヤクザの取り分も25%。店も出した分の半分が戻れば、それで裏金ができる。三方、丸く治まるというわけだ」(X氏)

このように、中国人を使っても暴力団側がリスクを取らず損をしない仕組みが出来上がっていた。

インターネットが急速に普及して誰もが携帯電話を持つようになると、半グレ組織などはメールやショートメッセージを使って中国人を集めた。その中国人たちを現場に連れていき、ビルやマンションの複数の部屋に侵入させ、金目の物を根こそぎ持ち去るという事件が都市部を中心に発生した。

「中国人は信用できない」…暴力団員が語る“タタキ”と“闇バイト”の実状。かつては殺人の実行犯まで請け負っていた中国人に代わって、日本人が重用されるようになった理由_4
現在、闇バイトの実行犯は中国人から日本人へと変わっている(中野の強盗事件で逮捕された永田陸人容疑者)
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「金持ちが住んでいるマンションはどこか、金が置いているのはどの部屋か、留守になるのはいつか、などの情報源は暴力団だが、直接犯行に関わることはしない。周辺に土地勘のある日本人を運転手や見張りに雇い犯行に及んでいた」と窃盗事件に詳しい元刑事は話す。

携帯電話がガラケーからスマホに変わり、SNSの利用が一般的になると、LINEやInstagramだけでなく、チャットツールのTelegramで闇バイトの募集が行われるようになった。

暴力団が今、闇バイトの人員として集めるのは日本人だ。それは掛け子や受け子でも、タタキの仕事でも変わらない。応募してきた時に身分証明書を取れば身元がわかるし、家族構成も握っておけば金を持ち逃げされることもない。

暴力団組織も自分らにリスクが及ぶことがないよう、日々、危機管理を行っているのだ。

取材・文/島田拓
集英社オンライン編集部ニュース班