闇バイトに手を染めてしまう中国人留学生たち
当時、闇バイトの募集は人づてか、無料で配布していた地域の広報誌やコミュニティのフリーペーパーが多かったようだ。
2001年4月には、今回の連続強盗のような事件が山形県で起きている。中国人の犯罪組織が訪日中国人向けの中国語のフリーペーパーにアルバイト募集の広告を出し、タタキの仕事を実行する人間を集めていたのである。
金ほしさに犯行に加わり実行犯となったのは中国人留学生らだった。強盗目的で鶴岡市の民家に押し入り、資産家の親子を殺傷したのである。東京在中の実行犯らを山形まで運んだのは、運転手として雇われた日本人の手配師だ。その家に金があるという情報は、地元のヤクザから上部組織を通して、中国人犯罪組織にもたらされていた。
「一度犯罪に手を染めた中国人は、色々な仕事に手を出す。中国人犯罪グループに加わる者もいれば、使われた者もいる。なんでもやるというやつらをまとめて仕事を斡旋する中国人もいた」(X氏)
中国人を使うのはリスクがあるという暴力団組織でも、闇バイトの仕事によっては、斡旋する中国人に人集めを頼んでいた。
そのひとつがパチンコ屋の打ち子だ。打ち子は雇い主の指示に従ってパチンコやパチスロを打つ仕事である。パチンコ屋が大儲けしていた当時、中国人犯罪グループがこの儲けを見逃すはずがない。
「彼らは中国人を使ってパチンコ屋のロムを改ざんした。裏ロムとか、色々な方法を使って台の設定を変え、荒稼ぎしだしたんだ。困った店側が地元のヤクザに相談して中国人らを駆逐したが、完全には追い出さなかった。その代わり、パチンコ店を荒らさないよう協定を結んだ」(X氏)
結ばれた協定は暴力団と半グレ組織の間だけではなかったとX氏は明かす。
「パチンコ屋もグルさ。ずるいパチンコ屋は玉を8000しか飲み込まないように設定し、玉を勘定するのに2割ほど機械のメーターをずらす。すると1万円出るところが8000円分になる。そうすると、実際は1億円売り上げててもレジや機械上の売上は8000万ということになって、店としては税金逃れになる」
そんなことをしていれば玉が出ないという噂が立つが、そこで使うのが前述の中国人の闇バイトだ。