互いに面識のない実行犯たち
1月19日、東京都狛江市の住宅で、大塩衣与さんが遺体で発見された。この1週間前にあたる1月12日、大網白里市のリサイクル店で起きた強盗傷害事件で逮捕された自衛官・中桐海知容疑者(23)のスマホから、大塩さん宅の襲撃を示唆する情報が残されており、千葉県警から警視庁に情報提供がおこなわれたが、一歩遅かった。
狛江という地名と時間に関するSNS上のやり取りは、2022年12月5日、中野区の住宅で強盗傷害事件を起こし、警視庁に逮捕された永田陸人容疑者(21)のスマホからも見つかっていた。
この事件は7人組による犯行とみられ、そのうち5人が逮捕されている。その中には昨年10月に稲城市でおきた強盗傷害事件ですでに逮捕されていた被疑者も含まれていた。
稲城市の事件では強盗致傷で7人が逮捕され、そのうち4人が山口県の岩国市や防府市で起きた事件にかかわっていた。
狛江市の事件でも現場には複数の足跡や指紋が発見されたと報じられており、複数の人物が犯行をおこなった可能性が高い。
被疑者らの多くは、SNSを通じて闇バイトに応募していた。中野区の事件で逮捕された被疑者の1人は警察の調べに「闇バイトに応募した。強盗をするために集まったメンバーで、互いに面識はなかった」と述べていると、メディアが報じている。
闇バイトについてY氏は「構図は振り込め詐欺と変わらない。特殊詐欺の掛け子や受け子、出し子の募集だったものが“タタキ”になっただけだ。特殊詐欺の組織は警察の厳しい取締りで、方法や拠点を変えていかなければならない。その都度、形式を変えてやっていくのは面倒くさいし、人手も手間もかかるから、直接、金を盗りに行くようになってきた」と解説する。
掛け子とは詐欺のターゲットになる相手に電話を掛ける役、受け子は金をだまし取る相手から現金やキャッシュカードを受け取る役、そして、そのキャッシュカードからATMなどで現金を引き出す役が出し子だ。出し子や受け子が取ってきた金を集金するのは、組織の人間だ。