逆恨みで強盗のターゲットにされるケースも…
「闇バイトに暴力団が関係しているのは確か。自分のところにもオレオレからタタキまで、人集めや場所など色々な話が流れてくる。ただ、特殊詐欺とルートは一緒だが、ヤクザが直接出ていってどうこうすることはない。実際にやっているのは半グレのようなヤツらが多い」
そう話すのはある暴力団幹部T氏だ。
「半グレの資金源は振り込め詐欺が主。金と力のある者が詐欺グループのオーナーになる。組織同士には派閥や上下関係があり、上納システムもできている」
半グレとは別にヤクザ業界では特殊詐欺をシノギとする組織もあり、「そこで凄腕の掛け子は○○組の人間という評判が立つ。稼げるやつがいると、組織はそいつを海外に行かせる。募集した掛け子も連れていき向こうから電話をかけさせ、管理させる。マニュアルがあれば掛け子を使うのも難しくない」(T氏)
T氏のところにも「○○市の××に1億あるんで、人集まりませんか」という話がくることがあるという。募集しているのは、もちろんタタキの仕事だ。犯行で盗んだ金品は役割に応じて分配される。計画して指示を出す組織が40%、仲介者が20%、残りが実行犯などの報酬になるという。
「実行しても金が取れないと困るから、ターゲットに関する精度の高い情報が必要になる。情報は内容によって値段が違い、1件数万円という情報もあれば、名簿屋から簡単に買える名簿もある」(T氏)
特殊詐欺のターゲットなら“詐欺にあったことのある人リスト”で探す。リストは内容によって1件10円から50円程度、値段が安いとそれだけ内容も薄くなる。不動産投資詐欺に使う富裕層向の名簿リストや資産家リストなどもあるという。
だがT氏によると、タタキの人集めで危うい情報も流れてくると話す。
「逆恨み系だ。あそこの家にはいくらあるとか、情報としては確かだが、どこから出た情報なのか、出所がバレたらそれこそヤバい」(T氏)
昨年12月から全国で30件以上起きている一連の強盗事件の中には、暴力団関係者と関わりが深いとされる人物や、闇カジノの経営に関与していたと思われる人物宅の襲撃もあったと、1月24日のデイリー新潮が報じている。
もしかするとT氏の言うように、金銭トラブルや組織同士の対立などによる逆恨みにより、情報を流された可能性があるのかもしれない。
取材・文/島田拓
集英社オンライン編集部ニュース班