浮気証拠バスターの「コロコロ」秘話

――準決勝を終えたときの手応えは、いかがでしたか。

西村 これでダメだったら、もうコントはやめようぐらいに思ってたんですよ。この1年間、芸人人生の中で、これ以上はないというぐらいコントに向き合ってきたので。これでダメだったら、もうダメなんじゃないかって。

――コットンは東京のコンビとしては珍しく、漫才もコントもバランスよくこなしている印象があります。大阪へ行くと、みなさん当たり前のように両方やっていますが、東京だとそうそういないですよね。

西村 近い先輩でいったら、ニューヨークさんぐらいですかね。東京は「漫才師」か「コント師」かって、けっこうはっきり分かれるんですよね。でも、僕らは自分たちのことを漫才師とも、コント師とも思ったことがないので。芸人なんで、それはどっちもやるっしょ、っていう感じです。

――2022年はともかく、例年だと比重はどんな感じなのですか。ちょうど半々くらいですか。

西村 気持ちは半々ですけど、コントの方が結果は出ています。2019年にNHK(新人お笑い大賞)で優勝したのもコントですし、ABCお笑いグランプリで4回決勝に進んでいるんですけど、それもコント。なので、僕たちの名刺になるのはコントなんでしょうね。

――自分たちの中でもコントの方が得意だという意識が強いのですか。

西村 漫才もできるという思いはあるんですよ。(2022年のM-1の)準々決勝で負けて、こんなこと言うのもあれですけど。コントは目標というイメージ。漫才は夢ですかね。小さい頃から漫才師になりたくて、芸人になったんで。

――キングオブコントの決勝進出が決まってからのおよそ一カ月間は、どのようにして過ごしていましたか。

きょん すっごい楽しかったです。普段、あんまり話したことのない先輩とかからも「おお、おめでとう」とか声をかけてもらえたり。

西村 僕は楽しいという感覚はゼロでしたね。むしろ、苦しかった。その間、ネタのことばっかり考えていたので。ウケるところと、ウケないところの精査とか。ボケを足したりもしたので。時間があればあるだけ考えちゃうので、早くやって欲しかったですね。

――新たに足したボケとは?

西村 1本目のネタで、きょんが両手に持ったコロコロをシャーンって伸ばして、カーペットの上をそうじするところあるじゃないですか。あれはTBSの大道具チームの英知の結集なんですよ。

こういうボケがしたいんで、警棒がシャーンって伸びるイメージで、普通の傘ぐらい伸びるものを作ってくださいと頼んだんです。ワンタッチで、軽くて、グリップは握りやすくしてください、みたいな注文も出させてもらって。

試行錯誤の末、本番で使ったものは3作目でしたね。最初はすごく重かったんですけど、どんどん軽量化されていって。

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きょん どんどん使いやすくなっていきましたね。あの伸びるコロコロは、今も家に大事に飾ってあります。