マニア&通好みのバンドの最後の瞬間とは。
ザ・スターリン、BLANKEY JET CITY、ゆらゆら帝国、GAUZE
ザ・スターリン
1980―1985(ザ・スターリン)
1987―1988(ビデオ・スターリン)
1989―1992(スターリン)
ラストソング「バイ・バイ・ニーチェ」
遠藤ミチロウ(故人)率いる、スキャンダラスなパンクバンド、ザ・スターリンは、豚の頭や臓物、爆竹、花火などを客席に投げ込んだり、全裸でステージから放尿したりといった過激なパフォーマンスを続けたため、全国のライブハウスやホールから締め出され、ライブ活動が困難になり、1985年2月21日の大映スタジオでのライブを最後に解散した。
その後、活動内容を改めて再結成と解散を繰り返したが、もっともスターリンらしかった第1期のラストソングは、1984年発表の4thアルバム『Fish Inn』収録の「バイ・バイ“ニーチェ”」。この曲の歌詞は、「バイバイ だけど大好きだから もっと遊ぼう」だけである。
BLANKEY JET CITY(1987―2000)
ラストソング「BABY BABY」
2000年7月28日、新潟県・苗場のフジロックフェスティバル'00初日のトリのステージが最後となったブランキージェット・シティ。怒涛の22曲を披露し、アンコールに応えて演奏した「BABY BABY」で終焉を迎えた。
ラストソングに選んだ「BABY BABY」はスタジオレコーディングされたことがない幻の曲で、ライブでの音源しか残されていない。
ゆらゆら帝国(1989―2010)
ラストソング「つぎの夜へ」
2010年3月31日にウェブサイトで解散を発表した、坂本慎太郎率いるゆらゆら帝国。音楽性の高さから国内外で高く評価されていたため、解散を惜しむ声は多かったが、坂本による解散理由は、「完全にできあがってしまったため」ということで、ファンも納得せざるをえなかった。
解散表明前の2009年12月30日に東京・恵比寿のリキッドルームでおこなわれたライブが最後の姿で、2006年発表のシングル「つぎの夜へ」をラストソングとして選んでいた。
GAUZE(1981―2022)
ラストソング「栄枯盛衰」
アンダーグラウンドなジャパニーズハードコアシーンの第一線で40年以上にわたって活動を続けてきたガーゼが、2022年11月26日、老舗ライブハウス・新宿ANTIKNOCKでの招待した関係者のみを観客とする無告知ライブで解散した。
ラストソングは1997年発表の5thアルバム『面を洗って出直して来い』に収録されている「栄枯盛衰」。解散理由はボーカルFUGU氏の体調問題であったため、解散ライブはボーカル不在で進んだが、最後の曲だけFUGUがマイクを取り、会場を大いに沸かせた。
さて、いかがだったでしょうか?
一時代を築いた人気バンドが選んだラストソングには、それぞれ何らかのメッセージがあるような気がしないだろうか。
もちろん、ファンそれぞれの思い入れによって受け止める意味は違うはずだから、これ以上の解説をつけるのは野暮というものだろう。
紹介したバンドによってはYouTubeなどにラストライブの様子がアップロードされていたりするので、興味が湧いたらぜひ見ていただきたい。
それではまたいつか、洋楽編でお会いしましょう。
文/佐藤誠二朗