ヨーロッパや日本でも珍しいレベルのスタジアム

――スタジアムまでのインフラは快適ですか?

今回、新たに地下鉄が作られて、スタジアムまでアクセス出来るようなっているので、非常に快適です。ただ、試合後はかなり混みますね。将棋倒しが起きたりしないように、人の流れを運営側が厳しめにコントロールしていて、駅に入るまでに1時間待たされたり。スタジアムの周りで時間を潰して帰る人も多いと思います。

Uber Taxiがかなり安くて、10分の距離で500円程度なので、地下鉄よりもメインで使っている人もいます。

――時間を潰せるような場所はあるのですか?

おそらく主催者側が雇っていると思うのですが、今大会は“催し物”が多い印象です。ダンスや歌、中東の楽器を演奏していたり。そういうブースがスタジアム周辺に点々と続いていて、アラブっぽいカルチャーを味わえますね。

ある試合の後には、カタールの“ガールズバンド”と思しきグループが、黒いスカーフを巻いてライブ演奏しているのも見ました。おそらく、ヨーロッパから指摘されている“ジェンダー問題”に対するアピールの部分もあるのではないでしょうか。

――今回7つのスタジアムが新設されましたが、実際に訪れてみた感想はいかがですか?

今回のスタジアムは「本当に観やすい」です。どのスタジアムもすり鉢型で、劇場のように観客席が“急勾配”になっていて、ピッチが近く感じるんですね。ヨーロッパのサッカー先進国でもなかなか見られないクオリティのサッカー専用スタジアムだと思います。

そういう“急勾配のスタジアム”を作ろうとすると、建設予算が跳ね上がるそうで、空調システムも含めて、「かなりお金が掛けられているな」と。通常のスタジアムだと、1階席がなだらかな角度で、その分だけ2階席がピッチから遠くなります。カタールのスタジアムは1階席も2階席も急勾配で作られていて、1階席は臨場感があって、2階席はピッチを見下ろす感じで、それぞれの良さを味わえますね。

日本がドイツとスペインに勝利を収めた「ハリーファ国際スタジアム」は、“唯一”陸上トラックがあり、ピッチと観客席が少し離れていますが、それでもかなりの急勾配なので、日本のスタジアムに比べるとピッチが近く感じます。日本対コスタリカ戦が行われた「アフメド・ビン=アリー・スタジアム」はサッカー専用スタジアムで、非常に観やすかったですね。

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日本対コスタリカ戦が行われた「アフメド・ビン=アリー・スタジアム」 写真:ロイター/アフロ
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