さくらももこ流エッセイの作り方

――エッセイが出来上がるまでの過程で印象に残っていることはありますか?

さくら先生の中で「こういうことを書きたい!」という構想があるので、あまり細かい打ち合わせはしていなかったですね。『あのころ』については「小さいころの出来事をまとめる」ということくらいは打ち合わせた気もします。でも、基本的にはどの本も“さくら先生が面白いと思った出来事を書く”ということを大事にしていたので、さくら先生の赴くままに書いていただいていました。

さくら先生がエッセイの執筆をするときは1週間〜10日の間、ホテルに缶詰をされていたので、僕はそのホテルの手配をしたり、時折様子を見にうかがったり…くらいのことしかしていなかった気がします(笑)。変な言い方になりますが、さくら先生は放っておいてもちゃんとお仕事をされる方だったので。

――スケジュール通りにお仕事をされる方だったんですね。

そうですね。さくら先生は時間を決めればきちっとやってくれますし、“締切に間に合わない”というような心配をしたことはまったくなかったです。

――1週間から10日間のホテル缶詰めの期間で、1冊分を完成されていたのでしょうか?

大まかな部分は書き上げていました。缶詰期間に入る前には、さくら先生の中で書きたいことができあがっていて、それをまとめるための缶詰だったんだと思います。漫画のことや子育てなどとても忙しい時期でしたが、それを感じさせない集中力を持った方でした。