“温存”された上田綺世に期待

注目はトップの起用法で、ドイツ戦は前田大然が犠牲精神を見せたが、得点力に欠け、フィットしていなかった。浅野も、スペースが広がる状況が功を奏した格好だろう。相手のCBを敵に回し、怖がらせ、消耗させながら、シュートを打ち込める上田こそ、採択したい選択肢だ。

ドイツ戦のプレビュー原稿で的が外れたのは、上田をキーマンの一人に挙げた点だろう(ドイツ戦は不出場)。
ただ、彼がコスタリカ戦に温存されたのなら理解できる。コスタリカのセンターバックを蹴散らすパワーと天才的なパスを引き出す動きで、より大きなダメージを与えられるはずだ。

最後に切り札として挙げたいのは、三笘である。

ドイツ戦、彼が左サイドでボールを持つと、敵ディフェンダーは懐に入ってこられなかった。食い付けば裏をとられるのが分かるからで、戦う前から局面で勝っていると言える。だから起点を作れるのだ。

「なかなかの雰囲気だったので、慎重に行かないと(空気に)流されるなと。自分と対話しながら(交代で)入りました」

交代出場した時の心境を、三笘はそう語っている。

「ドイツ戦は(ウィングバックとして)高い位置を取って、(リードされてゴールを狙いに)いくしかないシチュエーションでした。周りが動き出すための時間を作れたのはよかったと思います。前半は苦しかったですが、同点で折り返すことができたら、必ず流れは来ると信じていました。コスタリカ戦は中三日で(短く)、次に勝つか負けるかで大きく変わるので」

本来、三笘は先発すべき選手で、左よりトップや右サイドで生きる久保を温存し、三笘で勝負を決める戦い方もひとつにはある。ただ、今大会に限って言えば、ジョーカーとしての起用が得策だろう。

取材・文/小宮良之 撮影/スエイシナオヨシ