BOOKOFFは「文化のインフラ」である

谷頭 こうして東京以外の地域を見てみても、BOOKOFFは網羅率がすごいですね。
BOOKOFFって最近文化的な側面から見直されつつある存在で、自分も東洋経済オンラインで『ブックオフで生きてきた』という連載をしているんですが、「BOOKOFFがあったから自分の文化的素養ができました」っていう人たちがたくさんいるんですよね。本だけじゃなく音楽や映画もBOOKOFFで摂取したんだ、という話が多い。
こうやって可視化されたのを見ると、そりゃそうなるってなりますね。インフラですよね、もはや。

それと先ほど鉄道の話がありましたけど、BOOKOFFはもともと国道16号線沿いに一号店があって、そもそもが車ユーザー向けの店舗を展開していたんですよね。
鉄道路線と書店の分布を重ねた図で見てみると、まったくどこの鉄道沿線でもない店が結構ある。それは、こうした「車志向」を顕著に表しているでしょうし、逆に日本全国に潜伏していた「車ユーザー」が利用したからこそ、「文化のインフラ」になったともいえます。

家電量販店と比較すると?

谷頭 こうして可視化してもらったものを見ると、自分が感覚的に把握してるものとズレてる部分もあって面白いですね。

重永 感覚とのズレでいうと、個人的に電気屋、家電量販店はすごいギャップを感じます。電気屋っていうとぼくはまずヨドバシカメラが思い浮かぶんですけど 、全然少ないんですよね。たったの24店舗(※)。

※店舗数はロケスマWEB(https://www.locationsmart.org/#shopping_kaden)を参照。以下同様。

谷頭 24店舗しかないんですか!?

重永 三大都市圏+αぐらいにしかないですね。
一番店舗が多いヤマダデンキは779なので、30倍ぐらいの差がある。ヤマダデンキの分布を見てみると……すごいですね、BOOKOFF並だ。

谷頭 ぱっと見た感じBOOKOFFと似てますね。

重永 店舗数はヤマダデンキの779に対してBOOKOFFは761なので、ほぼ一緒ですね。
知らなかった!ヤマダデンキとBOOKOFFの店舗数がだいたい同じとは……。

谷頭
 これは発見ですね!!

後編ではBOOKOFFとヤマダデンキの分布の違いから始まり、それぞれの書店チェーンがどんな文化を担ってきたのかを探る。

後編 BOOKOFFは文化の破壊者なのか? 店舗の分布が語る、書店チェーンが果たしてきた役割 はこちら