お芝居がうますぎて「ずるい」と思う

「家族関係がキツかったら、距離を置いていい」井上真央×石田えりが“わかり合えない母娘”を熱演。映画『わたしのお母さん』_6

──先ほど、井上さんが初めて見た映画の話が出ましたが、おふたりが尊敬する俳優や映画スターのお話も伺いたいです。

井上 大学の卒論で、杉村春子さんについて書いたんです。そのときに作品をたくさん見ました。舞台女優というイメージがありますが、映画やドラマにも出演されていて、尊敬する方のひとりです。

スターという意味では、レオさま(レオナルド・ディカプリオ)。『ギルバート・グレイプ』(1993)を見たときから好きでした。若い頃はキラキラしたり、ギラギラしたり(笑)。今は年齢を重ねたからこその魅力があって。ちょっとお腹の出てきたレオさまも好きですね。

石田 私はニコール・キッドマン。すごく美人でスタイルもよくて透明感もあるじゃないですか。そういう人って、演技力が伴わない人もいるけれど(笑)、彼女の場合は何を演じてもすごいし、進化し続けている。『白いカラス』(2003)なんか、すごかったな。

あとアカデミー賞にもノミネートされた『愛すべき夫婦の秘密』(2021)もいい。ポップな役から暗い役まで演じ分ける変幻自在さはさすがだし、演技というものの真髄を掴んでいる感じ。ちょっともう、「ずるい!」って思っちゃうくらい好きです。



取材・文/松山梢 撮影/小田原リエ ヘアメイク/松本直子(井上さん)、MARI(石田さん/SPIELEN) スタイリスト/伊藤信子(井上さん)、山田陽子(石田さん/マージュ)

<衣装クレジット>
井上さん:ドレス¥63,800(DIESEL)、イヤーカフ¥25,300(LORO)、その他スタイリスト私物
石田さん:ジャケット¥25,300、ブラウス¥9,680、パンツ¥16,280(すべてSOEJU)

『わたしのお母さん』(2022) 上映時間:1時間46分/日本

「家族関係がキツかったら、距離を置いていい」井上真央×石田えりが“わかり合えない母娘”を熱演。映画『わたしのお母さん』_7

©2022「わたしのお母さん」製作委員会


3人姉弟の長女で、今は夫とふたりで暮らす夕子(井上真央)は、明るく社交的な母・寛子(石田えり)に、幼い頃からなぜか苦手意識を抱いてきた。夕子の弟の勝(笠松将)一家と暮らしていた母は、不注意からボヤ騒ぎを起こし、夕子の家に居候することに。落ち込む母をなぐさめるため、妹の晶子(阿部純子)と温泉旅行へ連れ出すものの、ことあるごとに余計なひとことを口にする母に、夕子はたびたび黙り込んでしまう。旅行の後も、母が家事を張り切るほど、息苦しさを感じる夕子。思いがけず始まった同居生活を機に、距離を置いてきた母との間にできた溝の深さに直面することになる……。

11月11日(金)よりユーロスペースほか全国順次公開
配給:東京テアトル
©2022「わたしのお母さん」製作委員会

井上真央
1987年1月9日生まれ、神奈川県出身。角田光代の小説を映画化した『八日目の蝉』(2011/成島出監督)で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、山路ふみ子映画賞新人女優賞をはじめ数々の賞を受賞する。その他の映画出演作に、『白ゆき姫殺人事件』(2014/中村義洋監督)、『焼肉ドラゴン』(2018/鄭義信監督)、『カツベン!』(2019/周防正行監督)、『一度も撃ってません』(2020/阪本順治監督)、『大コメ騒動』(2021/本木克英監督)など多数。テレビドラマでは「花より男子」シリーズ(TBS)、連続テレビ小説「おひさま」(2011/NHK)、大河ドラマ「花燃ゆ」(2015/NHK)、「明日の約束」(2017/KTV)、「乱反射」(2018/NBN)、「少年寅次郎」(2019/NHK)、「夜のあぐら〜姉と弟と私~」(2022/BS松竹東急)に主演。

石田えり
熊本県出身。1978 年、『翼は心につけて』(堀川弘通 監督)で映画デビュー。『遠雷』(1981/根岸吉太郎監 督)で日本アカデミー優秀主演女優賞と新人俳優賞を受賞。『華の乱』(1988/深作欣司監督)、『飛ぶ夢をしばらく見ない』(1990/須川栄三監督)で日本アカデミー最優秀助演女優賞はじめ数々の映画賞を受賞する。その他、『嵐が丘』(1988/吉田喜重監督)、『AYA』(1991 /スルーン・ホアス監督、オーストラリア AFI 主演女優賞ノミネート)、『サッドヴァケイション』(2007/青山真治監督)など話題作に数々出演する。世界的な写真 家ヘルムート・ニュートンが撮影した写真集『罪―immorale―』(1993)は大きな話題を呼んだ。2017 年に はピーター・リンドバーグ撮影の写真集『56』を刊行。2018 年には、短編映画『CONTROL』で初監督。2021 年 10 月公開の『G.I.ジョー・漆黒のスネークアイズ』(ロベルト・シュヴェンケ監督)ではハリウッド映画デビューを果たしている。