佐藤輝明、大山悠輔の「守備と打順」

――岡田監督は就任会見の時から、大山悠輔選手をファースト、佐藤輝明選手をサードに固定するという話をされています。

そこについては、自分も全く同じ意見です。大山選手の場合は、ファーストの守備が抜群に上手い。内野手からすると、少々の悪送球は捕ってもらえるという安心感があるのとないのではプレッシャーが全然違うので、内野手の送球に関するエラーは確実に減ると思います。

佐藤選手については、育てるという意味も含め、「4番・サード」に固定されることを期待します。外野からベンチに戻ってきて打席に立つ、サードからベンチに戻ってきて打席に立つといったわずかな違いだけでも、年間を通しての疲労度は変わってくると思います。

そもそも外野の守備よりサードの守備の方が上手いと思うので、打撃に重点を置くためにも、自分が得意なポジションで固定されることで、チームの中心として活躍してほしいですね。

――もし、鳥谷さんが阪神タイガースの監督だったら、どんなオーダーを組みますか?

4番・サード、佐藤選手、5番・ファースト、大山選手、この2人は固定です。外国人野手は外野手しか獲得しないでしょうね。4番打者の重要性を考えると、日によってポジションが変わるという発想は、自分にはありません。ましてや、試合中にポジションが変わる4番打者というのは……。

6番や7番を打つのであれば、多少は流動的になっても仕方がないかもしれませんが、基本的には絶対に固定がいいと考えます。143試合、先発メンバーが全員決まっていれば、監督・コーチは作戦を考えることに集中できますよね。監督・コーチが先発メンバーを考える必要がない状態がチームにとって最善ではないでしょうか。

近年、先発メンバーや打順を固定しなくなってきた理由としては、データが浸透したことによって、対戦投手との相性などが明確になってしまっていることがあげられると思います。

昔は、「あの選手は、敵のあの投手を苦手にしていそう」というイメージがあっても、いつも試合に出場している選手を使ったほうが、期待値が高いという人間の心理が働いていたような気がするのですが、今はそういうことが少なくなりました。

例えば、相手の先発が右ピッチャーだけど「対左バッターの被打率が1割、対右バッターの被打率が4割」というデータがあると、いつもと違う布陣になっても右打者を並べたくなってしまいます。

データがたくさんあるために、色々なバリエーションを組んだほうが勝つ可能性が高くなると、その瞬間は思ってしまうんです。

ただし、同じことを続けていれば確率的には必ずどこかで当たりを引けるはずです。それなのに、確率を高めようとするあまり、いつもとは違う方法をとってしまうところに落とし穴があるような気がします。データは使い方次第で、すごくいい部分もありますが、マイナスな部分もある。バランスが難しいですね。