「JFK」は普通ならジェフか球児さんがクローザー
――阪神タイガースがリーグ優勝した2005年は、勝利の方程式『J・F・K』が確立されていました。
先発投手が6回まで投げれば、もう後は、ジェフ・ウイリアムス、藤川球児さん、久保田智之さんの3人に任すだけという形がしっかりできていましたよね。
それまでも、クローザーとセットアッパーを確立しているチームはありましたが、どんな場面でも終盤の3イニングを、決められた3人でいくという形を作ったチームはなかったと思います。監督は選手を信頼して、しっかり固定して起用する、選手は信頼にこたえるプレーをするといったバランスは非常によかったですね。
JFKの3人の投手の並びも、岡田監督ならではのものでした。当時、自分たちの目から見ても「絶対に三振をとれる」「打たれない」というイメージがあったのは、ジェフか球児さんでした。それにも関わらず、岡田監督は久保田さんにクローザーを任せたのです。
普通は、後ろからいいピッチャーを並べたくなるものなのですが、そうしなかった。その理由として、試合の流れの中で、接戦の時には7回、8回には打順が上位に回りやすい。そこをしっかり抑えるために、球児さん、ジェフ、久保田さん、あるいは、ジェフ、球児さん、久保田さんという並びにしたというのです。
しかも、延長戦になっても久保田さんが残っていれば複数イニングを投げることができるところまで見越してのことです。岡田監督は、野手出身にも関わらず、そのあたりのバランス感覚も抜群だったと思います。
セントラル・リーグの場合は、打順の巡り、イニング、試合展開など、全てを読み切っての勝負勘が必要になってくるので、岡田監督の本領が発揮されるのは、やはりセ・リーグではないでしょうか。