不器用すぎる似たもの男女の成長物語
当時の女性としては珍しく、自分の意見をはっきりと言えるが、ときに言いすぎてしまうエリザベス。多くを語らず行動で示す点は美徳でもあるが、コミュニケーション不足のダーシー。
偏見のような重いベールがあれば、その人が持つ輝きを見ることができず、ときに長所も短所に変えてしまう。
葛藤しながらもエリザベスへの愛を確信したダーシーは、拒絶され、傷つきながらも愛する女性のために、自らの考えを見直して行動を変えていきます。エリザベスは、その献身的な行動から、ダーシーの本当の姿が見えるようになっていき、自分のこころの変容にも気づいていきます。
自分と向き合あうことができたエリザベスが、「彼と私はすごく似てるの。意地っ張りよ」と嬉しそうに語り、ダーシーをどれほど愛しているかを父親に話すラストシーンは、幸せに満ちていて、自分や他者をありのままに見る大切さ、人を愛することの素晴らしさ、親の愛の大きさ、いろんな愛にあふれていました。
この映画のふたつめの見どころは、まさにここ。頑固で不器用な男女が映し鏡のような相手と出会うことで、自分の本当のこころが見えるようになり、成長していく姿がとてもみずみずしく描かれています。
自分の気持ちを素直に伝えること、自分のやりたいことをするということは簡単なようでいて、とても難しいものです。世間体や他者への遠慮、または偏見などから想いを伝えないでいると、自分が本当に何が好きで、何をしたいのかが見えなくなってしまいます。
自分の気持ちを大切にしてはじめて、自分が見えてきて、他者の本当の姿も見えてくるはず。そして、そこから相手の気持ちに寄り添うということが可能になってくると思うのです。
第一印象や肩書に囚われず、一見苦手な相手でも、何かしら人生にヒントを与えてくれる人物かもしれない、という視点を持っていたいと思える作品です。