いつもの写真を特別にする方法
雑誌や広告、CD・DVDジャケット、アイドルのライブパンフレット、ドラマのポスターなどの幅広い撮影・ディレクションを手がける写真事務所「ゆかい」が運営する、東京・神田錦町の「あかるい写真館」。フォトグラファー5人が所属し、家族や友人同士の記念写真を軸に写真館サービスを行っている。
「あかるい写真館」の写真の特徴は、ディレクションに長けたフォトグラファーによって引き出される依頼者たちの個性豊かな表情。単なる記念写真も特別な一枚にしてくれる。
初対面で短時間にいい表情を引き出すのはプロならではだが、そのテクニックを少し教えてもらえればいつもの写真が記憶に残る特別な一枚になるかもしれない! 「あかるい写真館」を訪ね、「ゆかい」代表で写真家の池田晶紀さんに話を聞いた。
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とりあえず好きなものを持ってみる
――池田さんはお父さまが50年にわたって写真館を経営されていたそうですね。
池田晶紀(以下、同) そうです。昔ながらの写真館は決まった背景紙とライティング(照明)で型にハメていきますが、もっと寄り添った写真を撮りたいなと思って始めたのが「あかるい写真館」です。
広告などのデザインをする写真は、テーマに沿ってオリジナルのディレクションをして撮影します。「あかるい写真館」でもそれと同じように、お客さんの目的に寄り添ったディレクションを体験してもらいたいなと考えたんです。
――対象は、面識のない一般のお客さんなわけですよね。具体的にはどのようにディレクションするのですか?
「どんな集まり?」「写真を撮る理由は?」と聞いてみると、案外、何らかのテーマはあるものなんですね。けっこう長文のメールで答えてくださる方も多い。そうやってテーマを作ってみることと、好きなものを持ってきてもらうのが出発点です。
――好きなものを?
好きなものとそれを好きな人の間には関係性があって、「行為」が生まれるから自然な写真になるんですね。好きなおもちゃなら遊び出してもらえばいいし、楽器なら構えてもらったりします。
それに、特に子どもは好きなものがどんどん変わっていくでしょう。写真は時間を切り取るものですから、ぜひ残してください。こんなこともあったなぁって未来の自分を笑わせたり、楽しませたりするつもりで撮るのがいいですね。