ビートルズだって自分と同じ人間

――映画は写真とインタビュー映像と回想部分のイラストによって構成されていますが、構成上一番こだわった部分というのは?

シンプルに、この物語を心のあるものにしたかったんです。そのために、写真とインタビュー映像とイラストという3つの要素をいかにバランスよく配置するかということを考えました。同じような表現をして飽きさせたくないし、エゴを前面に出すようなこともしたくない。他に気に入ったアニメがいくつもあったんですが、編集した上で合わないと思ったのでカットしたこともありました。合計85時間ぐらいあった動画をそういったことを意識しながら編集していったんです。

――実際インドでビートルズの面々や彼らの当時のパートナー、そしてミア・ファローやビーチボーイズのマイク・ラブといった錚々たる顔ぶれと遭遇した時は、率直にどんなことを感じたんですか?

ビートルズの面々と会ったことを話すと、多くの人々は「すごいことだ」「歴史的なことだ」というような反応をしますが、実際は会って1分後には「すごい、あのビートルズだ」というような興奮は消えてました。この世の中で重要なのは富や名声ではなく、自分がどう人に対して向き合うか、どう地球のことを思って行動するかだと思っています。

ビートルズのメンバーやミア・ファローやマイク・ラブがそれぞれの仕事において成し遂げていることは素晴らしいと思いますが、インドで彼らと出会った時は、そういった先入観を取り払って、1から彼らを知りたいという感覚を覚えました。誰と出会った時でもそういう気持ちを持つことが大事だと思っています。カメラを持って歩いたのも2回だけでしたね。

史上最も偉大なミュージシャン・ビートルズとインドで過ごした奇跡の8日間_3
ジョン・レノン

フィルムもたくさん持っていたし、なおかつジョンはとてもフレンドリーで「僕が写ってる写真があったら送ってくれない?」っていうことを言ってくれたんですが、私はそこで一緒に写真を撮ったり、サインをねだったりという気にはならなかった。ビートルズの音楽は私の人生に大きな影響を与えていますが、実際の彼らに対しては、自分と同じ人間であるという想いを強く抱きました。

そういう経験をした、自分にとって思い入れの深い場所ということもあって、私はこれまでインドに60回くらい行っています。とても素晴らしいところでツアーも企画しましたので、興味のある方はチェックしてもらえたら嬉しいです(※記事の最後にツアー企画サイトの記載あり)。