新生アマンド始動から10年。
2012年にアマンドがキーコーヒーの傘下になってからは、喫茶店ではなくカフェ形態の方に一度はシフトしたという。
しかし、昼はランチ、夜はお酒も飲めてディナーが楽しめる、いわば飲食店としてのダイニングカフェが世の中で主流になっていたこともあり、「もう一度本来の洋菓子喫茶を訴求し、原点回帰したい」という思いを抱くように。2016年からはアマンドの創業当初のメニューを復刻し、昔ながらの「ナポリタン」や「プリンアラモード」などの提供を開始した。
こうした取り組みは、昭和レトロがフィーチャーされるトレンドを抑えたことで、若年層の女性にも支持されるきっかけにもなった。
「2019年には自社製造できるケーキのラボを店舗内に構え、作り立てのリングシューをお客様に提供できる『六本木リングシュー』という新しい商品を開発しました。現在、六本木店では4種類のリングシューがメニューにありまして、昔からアマンドを知っている方も、新しくアマンドを知った方も両方楽しめるラインナップが揃っています。
また、ショートケーキに関しても、季節限定の商品も提供していて、多様化するお客様のニーズに応えられるように意識しています。自社製造に切り替えたことで、スピード感を持って新商品を出すことができるようになったので、今後も洋菓子喫茶としての立ち位置を打ち出し、お客様に長く支持されるようなお店を目指したいですね」(勝俣氏)
アマンドはこれからも、創業理念である「甘いものでお客様を幸せにする」をモットーに、時代に合ったアマンドスタイルを提案していくと勝俣氏は意気込む。
「今は六本木店のみですが、近いうちに東京の主要玄関口に旗艦店を出したいと思っています」
変わりゆく時代のなかで風化せずに歩んできたアマンドは、この先も多くの人が愛してやまない喫茶店であり続けるだろう。今日もどこかで聞こえる「待ち合わせは『アマンド』でね」というフレーズ。アマンドはいつの時代も、六本木に来る人たちを待っている。
取材・文/古田島大介