私は会見を通して挙手し続けたものの、当然ながら指名されることはなく(そもそも司会が後方席を見ること自体がほとんどなく)、司会は会見終了を宣言。

ここで一部のフリー記者から「会見が短すぎる」との声が上がり、私も思わず「8人しかやってませんよ! 短すぎますよ!」と抗議の声をあげてしまった。しかし、岸田総理は「聞く力」を一切見せることなく、抗議を完全無視したまま退室した。

*会見打ち切り時の約1分間の映像は下記のYoutube動画参照。

外部配信サイト等で動画を再生できない場合は、筆者のYoutubeチャンネル「犬飼淳 / Jun Inukai」を参照下さい。

やはり指名順序は事前に決まっていた

こうして初めての総理会見はあっけなく終わった。中身のない質疑内容にはがっかりしたが、一方で収穫もあった。というのも、現地で目撃したあまりに奇妙な光景から、噂レベルで聞いていた「会見進行に関する重大な疑念」が、ほぼ確信に変わったからだ。これらは中継映像には映らず、現地参加しないと気付けない内容といえるだろう。


まず、過去に他のフリーランス記者も度々指摘してきたことではあるが、「質問の指名順序が会見前に決まっている」は、間違いなく事実であると感じた。最も分かりやすかったのは、3人目に質問を行ったTBS中村記者の指名シーン。

幹事社2名(共同通信、東京新聞)の質問が終わった直後のため、ほとんどの記者が一斉に挙手したが、なんと司会者(四方敬之 内閣広報官)は手元の紙資料に視線を落としたまま、一度も会見室の大勢の挙手を見ることなく、「TBS、中村さん」と指名したのだ!

その瞬間「司会者は超能力者なのか⁉」と呆気に取られてしまった。そうでもない限り、「3人目にTBS 中村記者を指名することは事前に決まっていた」と思わざるを得ない。さらに、6人目の京都新聞・国貞記者の指名時にも全く同じことが起きた。

他の記者(4人目 NHK ・伏見記者、5人目読売新聞・海谷記者、7人目 BBC・ 鄭記者、8人目ジャパンタイムズ・フィー記者)の指名時は、さすがに司会者も顔を上げて会見室の挙手を見渡していたが、ここでも瞬時に指名していたため、一部(もしくは全員)の指名は事前に決まっていた可能性がある。