杉田妃和は世界一の人気クラブでレギュラーに

ソーンズには、東京五輪で優勝したカナダの主将、FWクリスティン・シンクレアやアメリカ代表のDFクリスタル・ダン、そして杉田など、6カ国から代表選手が集まっている。

杉田は、2月にINAC神戸レオネッサからソーンズに加入すると、すぐにレギュラーに定着した。ポジションは左サイドハーフが主戦場だが、日本でプレーしていた時と明らかに違うのが、ゴール数だ。なでしこリーグでは2018年の6ゴールが最多だが、アメリカではコンスタントにゴールを決め、5カ月でその数字に並んだ。そして、チームは首位争いを繰り広げている。

なぜ、アメリカ女子サッカーが「観客数世界一」なのか? WEリーグ発展へのヒントを探る_2
杉田妃和

「ソーンズはクロスの数が多いですし、シュートエリアが広くて技術も高いので、飛び込むタイミングが合わせやすいです。FWはボールが入ったら前を向いて、味方のサポートがなくてもシュートを打って終わります。そういう前への推進力は、日本でプレーしていた時とは違うなと感じています」(杉田妃和)

ホームのプロビデンス・パークに最下位のノース・カロライナ・カレッジ(NC)を迎えた8月5日の一戦は3-3のドローに終わったが、シュート数は20(ソーンズ)対23(NC)という打ち合いになった。

ファミリー、2人組、おひとり様、小学生グループ。年代も人種も多様なサポーターがチームカラーの赤と黒を身につけ、チャンスが来るたびに思わず立ち上がり、ファインプレーには拍手を送っていた。杉田の横断幕を掲げるサポーターも多く、「Hina!」コールがあちこちから聞こえてきた。

なぜ、アメリカ女子サッカーが「観客数世界一」なのか? WEリーグ発展へのヒントを探る_3
熱狂的なソーンズサポーターが集うゴール裏

ゴール裏からは、腹の底に響くような太鼓の音が響き、ソーンズが得点すると発煙筒が焚かれた。この日の観客数は1万7139人で、今季最多を記録。その雰囲気は、W杯や五輪などの国際大会に近い熱気を感じた。