ブーム前夜のモノマネ情勢
もはや第何次なのかよくわからないがモノマネブームである。
いや、第一次とか第二次とかなくて、ずっと絶えることなく日本人はモノマネが大好きなのかもしれないが、とにかく今モノマネが日常にあふれている。
テレビをつければJP扮する松本人志がコメカミに指を当てていて、スマホを見ればモノマネ系TikTokerが毎日のように新ネタをあげている現在、モノマネについて改めて考えてみたい。
芸としてのモノマネの歴史は古いが、今に続くモノマネ芸の大きい転換点となったのは1980年代後半の「ものまね四天王」の時代であることに異論はないだろう。
もちろん、それ以前にもモノマネ芸というのは存在しており、例えば声帯模写の江戸屋猫八・小猫(現・四代目江戸家猫八)親子はテレビ番組にも多く出演していたし、郷ひろみ専門のモノマネタレント若人あきら(現・我修院達也)も有名だった。
1973年に始まったフジテレビの『オールスターものまね王座決定戦』も元々は歌手・タレントの余技の側面が強く、初期の優勝者は演歌歌手がずらりと並んでいた。中には角川博のように本業の歌よりもモノマネの方が評判になるようなケースもあったが、あくまで余興の域を超えるものではなかった。