ボブスレーからスケルトン、そしてリュージュへ

ソフトボール以外にも、柔道、水泳などの経験があり、スポーツ万能の髙山だが、さすがにボブスレーの経験はなかった。オリンピックのテレビ放送で見る程度。誘ったボブスレー側からしたら、純粋なリクルートだけでなく、話題作りの側面もあっただろう。それもわかったうえで、髙山は乗った。

「オリンピックに出たかったんですよ。出て、メダルを目指すことが生き甲斐というか。だから、お話をいただいて、『それなら目指しちゃおうかな』みたいな感じでした。競技人口も少ないし、ひょっとしたらチャンスはあるかも? やれるんだったらやってみよう、と。せっかくいただいたチャンスなんだから、勿体ないじゃないですか」

セレクションを突破し、代表の強化合宿に参加。2010年のバンクーバー冬季五輪出場を目指していたが、最終選考でメンバー落ちする。

「オリンピック直前合宿に、なんか新しい選手が何人か入ってきて。こりゃ私、落ちるなと思ってたら、案の定」と髙山は苦笑いする。

このとき、合宿で親しくなった選手から、「せっかくボブスレーをやるなら、こっちもやってみたら」と誘われた。同じソリ競技のスケルトンだった。

「50歳で五輪に出たい」元ソフト“女大魔神”髙山樹里(45)がナチュラル・リュージュに託す夢_3
スケルトンは金属製のソリで、進行方向に頭を向けてうつ伏せ状態で乗って氷上を滑る速さを競う。男女別一人乗り

練習を始めて、まだ正規のコースでは2~3回しか滑っていないうちから大会にも出場した。

「面白い競技だな、と思いました。なんか非日常の動きなんですよ。だって壁を走るわけですから」と、その醍醐味を説明する。

数年後、親しくなったスケルトンの男子選手が、やはり同じソリ競技のリュージュに転向。その活動の中で、海外に「ナチュラルリュージュ」という競技があることを知った。次回のミラノ冬季五輪での競技採用を目指しているという。

*リュージュ=木製のソリで、進行方向に足を向けて仰向け状態で滑る。一人乗りと2人乗りがある。

「髙山さんも、やってもらえませんか」と頼まれた。頼まれたら断れない性格だ。

「最初は選手をやる予定じゃなかったんです。『チームを作りたいので、サポートしてほしい』という話だったんで。それが『代表選手としてやってほしい』と言われて、『え? そうなの?』って。でも、見ているうちに興味が出てくるじゃないですか。自分も乗ってみて、こういう競技なんだぁって実感して。あんまり突き詰めて考えない性格なんですよ(笑)」