ボブスレーからスケルトン、そしてリュージュへ
ソフトボール以外にも、柔道、水泳などの経験があり、スポーツ万能の髙山だが、さすがにボブスレーの経験はなかった。オリンピックのテレビ放送で見る程度。誘ったボブスレー側からしたら、純粋なリクルートだけでなく、話題作りの側面もあっただろう。それもわかったうえで、髙山は乗った。
「オリンピックに出たかったんですよ。出て、メダルを目指すことが生き甲斐というか。だから、お話をいただいて、『それなら目指しちゃおうかな』みたいな感じでした。競技人口も少ないし、ひょっとしたらチャンスはあるかも? やれるんだったらやってみよう、と。せっかくいただいたチャンスなんだから、勿体ないじゃないですか」
セレクションを突破し、代表の強化合宿に参加。2010年のバンクーバー冬季五輪出場を目指していたが、最終選考でメンバー落ちする。
「オリンピック直前合宿に、なんか新しい選手が何人か入ってきて。こりゃ私、落ちるなと思ってたら、案の定」と髙山は苦笑いする。
このとき、合宿で親しくなった選手から、「せっかくボブスレーをやるなら、こっちもやってみたら」と誘われた。同じソリ競技のスケルトンだった。
練習を始めて、まだ正規のコースでは2~3回しか滑っていないうちから大会にも出場した。
「面白い競技だな、と思いました。なんか非日常の動きなんですよ。だって壁を走るわけですから」と、その醍醐味を説明する。
数年後、親しくなったスケルトンの男子選手が、やはり同じソリ競技のリュージュに転向。その活動の中で、海外に「ナチュラルリュージュ」という競技があることを知った。次回のミラノ冬季五輪での競技採用を目指しているという。
*リュージュ=木製のソリで、進行方向に足を向けて仰向け状態で滑る。一人乗りと2人乗りがある。
「髙山さんも、やってもらえませんか」と頼まれた。頼まれたら断れない性格だ。
「最初は選手をやる予定じゃなかったんです。『チームを作りたいので、サポートしてほしい』という話だったんで。それが『代表選手としてやってほしい』と言われて、『え? そうなの?』って。でも、見ているうちに興味が出てくるじゃないですか。自分も乗ってみて、こういう競技なんだぁって実感して。あんまり突き詰めて考えない性格なんですよ(笑)」