驚異の「1試合22奪三振」 松井裕樹(桐光学園)

平成甲子園で斎藤に次ぐ大会三振数を記録したのはちょうど10年前の2012年、第94回夏の甲子園大会で三振ショーを演じた桐光学園(神奈川)の左腕、松井裕樹(現・楽天)だ。

第94回大会を通して松井が記録した三振数は、板東、斎藤に続く歴代3位の「68」(※左投手では歴代1位)。この数字を生んだ最大の要因は、大会記録「1試合22奪三振」という初戦での快投ぶりだ。

1回戦、今治西(愛媛)との試合で先発した松井は、1回、2回のアウト6つを全て三振で奪う好スタート。大きく曲がるスライダーが次々に決まり、今治西打線のバットは空を切り続けた。6回表にヒットを打たれてノーヒットノーランこそ逃したが、むしろ松井の真骨頂はここから。6回最後のアウトから試合終了まで、全てのアウトを三振で奪ったのだ。

この試合、終わってみれば、松井が打たれたヒットはわずか2本。バットに当たったのも9度だけ。「1試合22奪三振」は、それまでの「1試合19奪三振」を抜き大会新記録(※延長なしの場合)。6回から9回2死にかけて記録した「10者連続奪三振」は史上初の快挙だった。

松井は次の2回戦でも19個の三振を記録。「2戦合計で三振41個」は、第40回大会で徳島商・板東英二が作った「2戦合計で三振40個」を抜き、歴代1位。また、「2試合連続毎回奪三振」は史上5人目の快挙だった。