5類引き下げで得をするのは誰か
ここまで説明した内容を改めて図解すると、以下のようになる。
ほとんどのメリットが消えた中、デメリットだけは全て残る。富裕層を除く国民の立場から見ると、医療費を払えなければ受診すらできず、高い感染リスクに晒されながら働かざるを得ない。日本はまさに地獄絵図のような惨状になるだろう。
一方、政府の立場から見ると、医療費は負担せずに、経済を回すために国民をことが動かすことができる。また、企業の立場から見ても、経営者が社員の命より業績を優先する考え方であれば、5類引き下げは企業活動継続の免罪符となるだろう。
つまり、5類引き下げによって恩恵を受けるのは政府や企業で、その犠牲となるのは国民や最前線で治療にあたる医療従事者たちなのだ。5類引き下げを声高に叫ぶ政治家・有識者たちは、これによって恩恵を受ける政府や企業の代弁者に過ぎない。騙されてはいけない。
文/犬飼淳