せっちゃんの無償の愛が響いた
密着を進めていく中で、店主のせっちゃんや常連客と打ち解けていった鳥居D。だが、あまりに可愛がられすぎるために、ディレクターとして気をつけていたこともあったそうだ。
「あくまでお店とせっちゃんさん、そしてお客さんが主役なので、自分からはあまり話しかけないようにしていました。ありがたいことに、取材の中で話しかけられることも増えたのですが、僕が中心にならないように気をつけました。また、1~2週間かけて取材していると、お店で可愛がってもらっている自分と、そのVTRを編集しなければいけないディレクターとしての自分がごちゃごちゃになって、だんだんと主観が強くなっていくんです。こういう生活をしているだけでいいのかな?とか、客観視できずに戸惑うこともありました」(鳥居D)
せっちゃんのポリシーは、何よりも周りの人を気遣い、縁を大切にしていること。番組でも取り上げられていたが、鳥居Dが両親への連絡を怠っていることを知ったせっちゃんからたしなめられ、すぐに電話をかけていた。
「あそこまで無償の愛がある人はいないと思います。特に家族とか親を大切にするべきという考えを第一に持っていて、実家に帰ってないことを告げると、“すぐに連絡しなさい”と叱ってくれました」(鳥居D)
一回目の放送後には、店にお客さんが増えただけでなく、せっちゃんの元には何年も連絡が取れていなかった古い友人や親戚から連絡がきて、再会することもできたという。そういうテレビの力を実感しながら、鳥居Dはこれからも『オモウマい店』に貢献することを考えている。
「群馬県はおもしろいお店ばかりで、まだまだ他にも見つかりそうなのですが、別の県や地域にも足を伸ばしてみたいと思います。ディレクターになったばかりなので修行の身ですが、いつかは自分で企画した番組をやってみたいですね」(鳥居D)