プレイヤーだけではない秋山の「資質」
実際、広島が将来の指導者含みで獲得した選手は数多い。横浜の主力として選手会長も務めた石井琢朗や、西武、巨人で抑えとして活躍した豊田清などはその好例だろう。
「石井琢朗は引退後直後の2013年シーズンからコーチに抜擢されています。それも彼の実績を考えれば、いきなりバッティングコーチを任せてもよかったんですが、球団側はあえて守備走塁コーチにした。将来の監督就任を見すえて、さまざまなコーチポジションを石井選手に体験させようという球団側の配慮でした」(前同)
最近では巨人から移籍してきた長野久義、阪神からFA出戻り組の新井貴浩などもこのケースに該当するという。
「長野は後輩の面倒見もよく、気遣いもできるとチーム内での評判は抜群です。球団幹部らも『長野には引退後もチームに残ってもらい、コーチを任せたい』と明言しています。
新井も人柄がよく、復帰後は明るい性格でチームをまとめ、25年ぶりのリーグ優勝(2016年)に大きく貢献したことはだれもが認めるところです」(前同)
これらの選手に共通するのは豊かな人間性と高いコミュニケーション能力。カープはこうした「資質」こそが、指導者として選手を育成し、チームを切り盛りするために欠かせないと考えているのだろう。
それではカープはどうやって秋山の「資質」に気づいたのか? そこにはふたりのキーマンがいたとされる。