秋春制は浸透するか?

WEリーグは日本サッカー界で初めて秋春制を採用したが、1年目は様々な課題を浮き彫りにした。他のカテゴリーとシーズンが違っていることや、代表活動との日程調整も問題となっている。

Jリーグの日程は、代表チーム側との緻密な議論を重ねて決められているというが、WEリーグではクラブの希望がJリーグほど反映されていないのが実情だ。代表と国内リーグの強化が両輪であることを考えれば、落としどころはより丁寧に探っていく必要があるだろう。

――WEリーグは、アマチュアであるなでしこリーグとシーズンが違って、昇降格もありません。選手の加入や移籍をスムーズにするという点でも、いずれひとつのピラミッドにつなげる構想はあるのですか?

はい、いずれはつなげたいと思っています。男子のアジアチャンピオンズリーグが秋春制に移行する可能性があるので、そうなるとJリーグも秋春制に合わせる可能性があります。そうなった時には、必然的に女子もシーズンを合わせる形になると思います。

――WEリーグは、そのACLのシーズン移行の流れを先取りする形で秋春制を採用したのでしょうか。

世界的に『シーズンを統一していこう』という流れの中にあって、まずは新たに始まるWEリーグからという形になりました。

――昨年末の皇后杯では、WEリーグ勢が、日テレ・東京ヴェルディベレーザの下部組織であるメニーナやなでしこリーグのセレッソ大阪堺レディースに敗れる番狂わせがありました。シーズン移行や代表活動との兼ね合いで、日程がイレギュラーになったことも大きかったのでは。

代表がオランダ遠征をして、12月1日に帰国した際、オミクロン株の流行で1週間完全隔離を強いられました。その間、選手たちは動くことができず、チーム練習もできなかったんです。一方、メニーナやセレッソは春からコンディションを上げてトーナメントを勝ち上がってきた。その差も出たと思います。

――そのバランスは難しいところですね。ただ、今季上がったさまざまな課題は、日程や試合数のシミュレーションをしっかりしていれば防げたことのようにも思えます。

そうですね。でもまだ1年目だし、走りながら考えるしかない。出てきた課題をすべて来季に活かさなければいけないと思っています。


「ジェンダー平等社会を目指すWEリーグの社会理念」と、「プロ化による競技力向上の現在地」は後編へ。

写真/AFLO