ドーピングを繰り返し、アタマでっかちのおかしな構造に
実は上場する場所(=証券市場)にもランクがあります。日本で最も良い市場とされているのが、東京証券取引所(東証)における「プライム」です。
※ 東証以外にも、名古屋(名証)・札幌(札証)・福岡(福証)もありますが、企業数は多くありません。
Q 日本で最も優れた市場とされる「プライム」は何社ある?
正解は…1841社です(2022年1月11日、東証が正式発表)。日本全体で420万社もある中で、1841社しか“プライム上場企業”と名乗ることはできません。なお他の市場区分を見てみると、スタンダードは1477社、成長株を主に扱うグロースは459社が上場しています。東証の上場企業を合計すると約 3800社。日本に存在する会社の数と比較して全体の 0.09% と、上場企業の少なさがわかります。
スタンダード(1477社)より、プライム(1841社)の企業数のほうが多いのは“悪い歪み”だと考えます。なぜならプライム(=最も重要な)は本来、厳選された企業だけが存在しているべきだと考えているからです。
競争は資本主義社会の原理原則です。本来は健全な競争と厳選があって、プライム(500社)、スタンダード(2000社)、グロース(1300社)となっているべきではないでしょうか?
なぜここまで歪んでしまったのでしょう? それは東証が「売買が活発だと儲かる」という立場であり「●●社がマザーズ(現グロース)から、東証1部(現プライム)に上がりました!」という新規材料を使えば投資家の売買も活発になったからです。こういうドーピングを繰り返しすぎた結果、プライムが最も企業が多く、アタマでっかちになってしまいました。
なんと東証1部(現:プライム)は直近30年で約2倍に膨れ上がってしまったのです。にもかかわらず、東証2部に降格される企業はほぼありませんでした。もし1部から2部に格下げされた場合、株価は下がり当該企業からは恨まれることでしょう。証券会社も「東証 1部だから安心ですよ」という
売り文句で顧客に株をすすめていたので、その銘柄が降格されたら顧客からクレームが殺到します。