毎朝5時20分から16時間以上…61歳店主が閉店を決断するまで
閉店した「麺屋ごとう」は池袋で16年間営業した後、2014年に駒込へ移転した。
移転の背景には、売り上げの変化があった。昼営業だけでは厳しくなり、夜の営業も始めたが、思うように客が増えなかった。また、兄との役割分担や家族の事情もあり、後藤さんは一人で店を切り盛りすることを考えるようになった。池袋の店舗は広く、ワンオペでは難しい。そこで、一人でも営業できる規模の店を探した。
移転後は、池袋時代のような大行列ができることは少なくなった。それでも、店の規模は後藤さんの働き方に合っていた。移転先の物件は、それまでラーメン店が入っても長く続かない印象があっただけに、「麺屋ごとう」がやってくると聞いたときは驚いた。
当初は妻も手伝っていたが、基本的には一人で営業できるサイズだった。地域に根差し、無理なく続けていく。駒込での約12年間は、そんな日々だった。
今回の閉店を決めた直接的なきっかけは、7月に訪れた賃貸契約の更新だった。
更新にあたって家賃が大幅に上がることになった。交渉も試みたが、条件を変えてもらうことはできなかった。
客数が大きく減っていたわけではない。それでも、家賃に加えて食材費なども上昇しており、これまでと同じように営業を続けることは難しくなった。
「お店はそんなに儲かっているわけではないですけど、客数はそんなに減っていないから、やってはいけるんです。でも、家賃も上がっているし、食材費も上がっていますからね」
店を移転することも考えたが、新たに物件を借りて営業を始めるには、まとまった費用がかかる。現在の店を続けるにも、新しい場所で再スタートするにも、簡単な状況ではなかった。
さらに、体力的な負担も重なっていた。
後藤さんは毎朝5時20分に店へ向かい、仕込みから営業、片付けまでをこなす。帰宅は午後9時半から10時近くになることもある。家を出てから帰宅まで16時間以上に及ぶ日もあった。
日曜日も朝から仕込みをし、その後に少し休む程度。まとまった休みを取ることは難しかった。
妻の足の具合があまりよくなく、以前のように店を手伝うことも難しくなっていた。子育てや学費など、家族の状況も変化していた。












