被疑者ノートに残された「Bは言ったぞ」
「警察も、検察も、人々を助け、命と人権を守る立場にあると私は信じてきました。娘も守られるべき1人の人間ではなかったのですか。『やっていない』と訴える人の声を正面から聞いてください。その訴えを、身体の拘束を続ける理由にしないでください。
娘の身体を拘束する必要がなぜあったのか。その間、娘の声を聞き、命と尊厳を守っていたのか。私はその事実と判断の根拠を明らかにすることを求めます」
21日午前の神戸地裁法廷に、昨年12月14日に16歳の若さで亡くなったるなさん(仮名)の母・A子さんの涙声が響いた。
るなさんは兵庫県内で障がい者支援施設を運営する母親の姿に惹かれ、障がい者福祉の道を歩み始めた。A子さんの施設でスタッフとして働いていたが、昨年6月17日、成人男性スタッフBさんとともに、施設利用者への暴行容疑で突然逮捕された。
「舞台となったのは昨年2月15日にるなさんが中心となって企画した、施設のバレンタインイベントです。ここで、知的障がいをもつ女性・Xさんが他の参加者を噛もうとする他害行為があり、るなさんとBさんが『あかんよ』と言いながらXさんのあごに手を添え、制止しました。これが“暴行”と見なされたのです」(A子さんの代理人・向井義博弁護士)
捜査の発端は、同じイベントに参加した知的障がいを持つ女性Yさんが、その約1カ月半後の去年4月1日、住居がある県内α市に「(るなさんらが)Xさんに虐待をしたかもしれない」という申告をしたことだ。
この情報が、Xさんが暮らすβ市と管轄の明石警察署に伝わった。会話ができないXさんに代わって親族から被害申告を受けた明石署は、るなさんとBさんを逮捕した。
小野署の留置施設に収容されたるなさんは、弁護士に差し入れられた被疑者ノートに、取調官から「Bは言ったぞ」「なんでBと言ってることが違うんやろな」と言われ、容疑を認めるよう要求されたと書いている。だが、Bさんも容疑を認めたことはなく、A子さんのもう一人の代理人・佐々木正博弁護士は「嘘で不安をあおり自白を誘導した」と分析する。













