繁忙期の現場で起こった“ありがたい”出来事
『85円の遺言』第5話を読む(漫画を全画面で読むをクリック)
不思議な出来事が起きたのは、ある郵便局の裏にある駐車場だった。
お中元の繁忙期。小包班の職員たちは、「赤車」と呼ばれる配達車に荷物を積み込んでいた。あたりには、夏祭りの祭囃子が聞こえていたという。
その町では夏になると、地元企業の有志が踊りながら商店街を練り歩くならわしがあった。
荷物の多い時期で、職員たちは忙しく作業をしていた。すると、その場にいた一人が急に「えっ」と声をあげた。続けて、隣にいた人も声をあげたという。
何が起きたのか。
持っていた荷物が、誰かがひょいと持ち上げたように、ふわっと軽くなったのだ。
普通に考えれば、荷物の重さが急に変わることはない。だが、その場にいた複数の職員が、同じような感覚を体験していたという。
この出来事について、送達ねこ氏はこう話す。
「不思議なことが起きたのは、配達員が荷物を車に積んでいるときだったそうです。ちょうど祭囃子が聞こえてきて、みんなで亡くなった局員の話をしていたときだったと聞きました」
その亡くなった局員というのが、Aさんという人物だった。
Aさんは小包班のリーダーで、まだ40代の若さだったが、病気で亡くなっていた。生前は、重い荷物を率先して持ってくれる人だったという。
さらにAさんは、町の夏祭りにも毎年参加していた。地元企業の有志が踊りながら商店街を練り歩くなかで、ひときわ華麗に舞う人だった。
「小包班の人たちが祭囃子を聞きながら、『踊りたかったろうね』と話していたとき、急に荷物がふわっと軽くなったそうです。Aさんは生前、重い荷物を率先して持ってくれる人でした。だからみなさん、怖がるというより、『Aさんが手伝いに来てくれたのかな』と感じたそうです」
しかも、その日はお中元の繁忙期。荷物が多く、職員たちにとっては特に忙しい時期だった。
そのため、体験した職員たちは「すごくありがたかった」「もっといてくれていいのに」と話していたという。
怖い話というよりも、亡くなった人の人柄が、残された人たちの中に残っていたからこそ、不思議な出来事にも「あの人らしさ」を感じたのかもしれない。
「もしかしたら亡くなった人がそばに来て、残った人を気にかけていることがあるのかもしれないと思った出来事でした」
漫画『85円の遺言』で描かれるのも、亡くなった人がこの世に残した思いと、それを受け取る人たちの物語だ。
亡くなった人は、何を伝えたかったのか。そして、生きている人たちは、その思いを受け取ることができるのか。漫画『85円の遺言』第5話をお届けする。
「毎月第3土曜日18時配信」
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文/集英社オンライン編集部
次回:10月17日(土)配信予定
※毎月第3土曜日更新













