「大丈夫」の言葉、信じた

西角さんの2人の息子、昇真さんと朋晃さんも子どもの頃からこだわりが強く、さまざまな行動が頻繁にあったという。家中のコンセントを抜いたり、物を2階の窓から外に落としたり。西角さんはこう振り返る。

「生活はめちゃくちゃでした。2人を手にかけようと思ったことが何度もありました」

それでも、西角さん夫婦は2人を周囲から隠すことはしなかった。小学校はほかの子と同じように近くの公立小学校の普通学級に入れた。2人の発語は一言、二言程度で、意味のある会話はなかなか成立しない。いろいろなトラブルがあったが、地域社会の中でぶつかったり謝ったりしながら育ててきた。「自分やほかの人を傷つけることだけはしないように言い聞かせてきました」と西角さんは話す。

中学と高校は特別支援学校に進んだ。2人が高校を卒業した頃、ちょうど恵が愛知県内でグループホームを作り始めていた。西角さんは恵の短期入所(ショートステイ)を何度か利用し、その頃は特に対応に問題はなかったため、地元の春日井市にふわふわがオープンすると、2人の入居を決めた。2019年のことだ。

西角さんの双子の息子が入居した「ふわふわ春日井」=2023年8月 写真/共同通信社
西角さんの双子の息子が入居した「ふわふわ春日井」=2023年8月 写真/共同通信社
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「2人のことは分かっていますから、大丈夫ですよ」。スタッフのそんな言葉を信頼した。重度の障害者を受け入れてくれる恵を応援したいような気持ちもあった。

2人の歯磨きがほとんどされていないなど、気になることはあったが、スタッフとやりとりしながら2年ほどはいい関係で過ごした。だが、2020年に新型コロナの感染が拡大。2人との面会はなかなかできなくなった。2021年になると、長男の昇真さんが一日に何度もパニックを起こして暴れるように。部屋の壁紙をはがし続けたり、面会に行った西角さんにつかみかかったりして、行動障害が激しくなった。朋晃さんも不安定になっていた。