「強度行動障害」という状態
いろいろな問題を取材していると、その後の取材への取り組み方を決定づけるような人に出会うことがある。恵の取材では、この親御さんがそれに当たった。
愛知県春日井市に住む母親の西角歩さん。2023年8月、後輩の記者と一緒に自宅へ伺うと、夫婦で取材に応じてくれた。
西角さんには、重い知的障害と自閉症のある双子の息子がいる。長男は昇真さん、次男は朋晃さんという名前だ(2023年取材当時、23歳)。
20年近く障害福祉の取材をしてきて、親仲間を通じても、知的障害や自閉症のある人は多く知っているが、双子で重い自閉症があるというケースには初めて出会った。きょうだいとも発達障害や知的障害があるというケースは時々ある。でも、双子は珍しい。双子というだけでも育児は相当大変なのに、2人とも重い知的障害と自閉症があったら、大変さは想像を絶する。私はまず、そのことに驚いた。
自閉症の場合、独特のこだわりや感覚過敏があることが多く、重い知的障害を伴うと自分でそれを話すことができない。本人も苦しく、いら立ちやストレスから「自分の頭をたたき続ける」「人に殴りかかる」「ものを繰り返し壊す」といった自傷・他害行為や破壊行動をしてしまうことがある。「強度行動障害」と呼ばれる状態だ。
例えば、過去にあった嫌なことを何かのきっかけで思い出し、パニックになって暴れるということもある。周囲からすると、なぜ突然暴れ出したのか分からない。大声で叱ったり、体を押さえつけたりすると、本人は怖がって一層ストレスがたまる。すると、さらに行動障害が激しくなって、虐待や身体拘束をしてしまう悪循環に陥る恐れがある。
行動障害は生まれつきのものではない。本人が不快に感じないよう生活環境を整えたり、周囲がうまく対応したりすれば、和らぐ場合が多いが、専門的なスキルや経験が必要となる。障害福祉の分野でも、ことさら支援が難しいといわれる。













