「ミャンマーには立って食べる文化がないんです」
東京・小岩駅近くにある立ち食いそば店『芽衣や』。店内に入ると、まず目を引くのは、ずらりとケースに並んだ天ぷらのバリエーション。出汁のきいたツユに、存在感のある天ぷらがのる一杯は、これぞ立ち食いそば。そばをすすると、いわゆる“下町の立ち食いそば”らしい味を堪能できる。
この店を切り盛りしているのは、ミャンマー出身の夫婦というから驚きだ。
妻のメイさんは2010年4月、夫のアウンさんは2011年10月に来日した。2人はもともとミャンマーの大学で知り合い、アウンさんはメイさんの先輩だったという。来日後はそれぞれ日本で学校に通い、その後、結婚した。店名の『芽衣や』は、メイさんの名前から取ったものだ。
メイさんは、専門学校を卒業後、コンビニの店長として就職。その後、建設業の事務の仕事も経験した。アウンさんもアルバイトなどをしながら日本で生活し、安定して働ける職場を探していたところ、4年ほど前に立ち食いそば店で働くようになった。
メイさん自身が、初めて立ち食いそばを食べたのは、アウンさんが働いていた店だった。
「そばは知っていましたけど、立ち食いそばはあまり知りませんでした。主人が働いていたお店で初めて食べて、ツユがおいしいなと思いました。あと、ゲソ天もおいしかったですね」(メイさん、以下同)
ミャンマー出身のメイさんにとっては、まず「立って食べる」ということ自体が新鮮だったという。
「ミャンマーには立って食べる文化がないんです。だから最初は、立って食べるんだ、そういうお店があるんだ、という驚きがありました。でも、安くて、早く食べられて、おいしい。そこがいいなと思いました」
自分たちの店を持ちたいと思ったきっかけは、メイさんが体調を崩して仕事を辞めたことだった。
再就職も考えた。だが、「自分たちの仕事を持ちたい」という思いが強くなったという。
「日本に来て長いですし、ずっと人のところで働いてきました。でも、仕事を辞めたときに、自分の仕事をやりたいなと思ったんです。主人に相談したら、いま立ち食いそば屋で働いているから、こういう店ならできそうだし、やりたいならやろうよと言ってくれました」
店を始めると決めてからまず考えたのは店を出す場所。都内で13件ほど物件を見て回ったという。















