すべての国民は『現実』を見る必要がある

――日本はすでに崩壊寸前というところまで来てしまっているのですね。この先、私たちはどうすればいいのでしょうか?

「現在の債務残高対GDP比の水準は、すでに太平洋戦争敗戦直前の水準を超えています。『新しい戦前』という言葉をたまに目にしますが、正確には戦前ではなく『敗戦前』と言うべきでしょう。

もういつ経済敗戦を迎えてもおかしくない、というのが現状です。これまでは円の強さを背景にした大借金で現実逃避が可能でしたが、もうそれはできません。すべての国民は『現実』を見る必要があるでしょう。

これほど少子化と高齢化が進み、かつ、食料自給率とエネルギー自給率が著しく低い状況で通貨崩壊が起きたことはありませんでした。通貨崩壊を防ぐには財政再建を行い、市場の信頼を回復するしかないのですが、それは不可能です。

財政再建は、具体的にいえば歳出の大幅カットと大増税を意味します。しかし、それを国民が受け入れるはずはありません。だから私は、日本の通貨崩壊は避けられないと思っています。その通貨崩壊の到来を早めるのが、サナエノミクスなのです。

これは以前からの私の一貫した主張ですけれども、日本は大崩壊を避けられません。ただ、避けることはできなくても、同じ失敗を繰り返さないでほしい。過ちの繰り返しを防ぐために、新書『サナエノミクスによろしく』を書きました。

だから、この本は若い人に読んでほしいですね。厳しいことしか書いていないけれど、ここに書いてあるとおりのことが起きますので、『こうした政策は将来に向けてやってはいけないんだな』という発想になってほしいと思います」

文/集英社インターナショナル

サナエノミクスによろしく
明石 順平
サナエノミクスによろしく
2026/6/5
1,089円(税込)
240ページ
ISBN: 978-4797681734

株価が史上最高値を記録しているのに、なぜ国民生活は苦しいのか。偽りの好景気「サナエノミクス」の正体を、公的データをもとに解説する。

「サナエノミクス」とは、高市早苗総理が提唱する経済政策の通称で、安倍晋三・元総理の「アベノミクス」を継承・発展させるものと喧伝されている。アベノミクスは3本の矢、1.大胆な金融政策、2.機動的な財政政策、3.民間投資を喚起する成長戦略からなっていたが、サナエノミクスはこのうち2を強調するものであり、「責任ある積極財政」とも呼ばれている。この経済政策を推進していけば、アベノミクスによって下げられた円の価値はさらに下がり、物価は上昇し、国民生活はより苦しくなっていく。
事実、アベノミクス開始後、円安により株価が上昇する一方で、物価の伸びに賃金が全く追いつかず、国民はどんどん貧しくなっていった。
実質賃金はアベノミクス開始前より低い水準のままである。これを継承するサナエノミクスは、史上最悪のエネルギーショックに襲われている日本の状況を、さらに悪化させるであろう。
ドルベースで見ると、2026年5月現在の名目GDPはアベノミクス開始前の3分の2にすら満たない。これが世界における日本の位置であり、真の姿である。100以上のグラフや公的データを用いて、アベノミクスとは何か、それを継承すると喧伝するサナエノミクスが日本に何をもたらすかを明らかにする。

amazon