2010年代のTwitterが生んだネタツイ文化

──ナツイさんはいわゆる「ネタツイ」を長らく投稿されていますよね。アカウントを開設してから今に至るまで、投稿する内容は一貫しているのでしょうか?

いえ、初めてTwitterのアカウントを作った2010年ごろは基本的にROM専(SNSや掲示板などで投稿をせずに閲覧を専門にしているユーザーの総称。ROMは「Read Only Member」の略)でした。今のアカウントを作ってからは最初、職場の悪口を書いていましたね(笑)。

──ある意味で正しいTwitterの使い方というか(笑)。ただ、Xになる前のTwitterのタイムラインは、そういった日常に関する投稿がネタツイや政治のニュースと混ざり合っていた場所でしたよね。

そうなんですよ、おすすめ欄もまだなかったですし。当時、私は職場の悪口にも笑える要素をちょっと入れるようにしていて、それで反応が集まるようになってから徐々にネタツイを投稿するようになったんです。

──当時ネタツイをしていたアカウントで印象に残ったものはありますか?

ひつじのあゆみさんやテクダさんは最初の頃から見ていましたね。それとダ・ヴィンチ・恐山さんも昔は近い界隈にいたような気がします。

取材に応じたナツイ
取材に応じたナツイ

クラスタが消え、界隈が残った

──今やSNSの外側で活躍している方々も、昔はネタツイ界隈にいた印象です。

そうですね。ただ、「界隈」と言えるほど強い繋がりがあったわけではないんです。私もネタツイじゃなくてハリウッドザコシショウを見てめちゃくちゃなことを言いはじめた節がありますし、各々が探してきた未知の面白いものがただ集まっているだけだと思うんです。それに、ほとんどの人はネタツイと意識せずにリツイートしていたような気がします。

──思えば、「界隈」よりも「クラスタ」という言葉の方が当時のTwitterでは使われていましたよね。Twitterでは「クラスタ」だったものがXでは「界隈」として扱われているような。

確かに、クラスタは消えましたね。初期は単に狭いコミュニティだったものが、広くてゆるい範囲を示すクラスタに拡散されていって、またコミュニティ的な界隈という概念に戻ってきているように感じます。

それに、クラスタはどこかヌルオタ(「ヌルいオタク」の略)の繋がりがある一方で、界隈にはガチ勢しかいない。昔はなんとなくみんなでアニメを観てワイワイしていたところから、アルゴリズムの発達によって自分の興味に合ったものが流れ続けるようになり、それぞれガチのものしか見えなくなったんだと思います。

過去のTwitterの空気感について熱弁するナツイ
過去のTwitterの空気感について熱弁するナツイ

──よく言われる言説として、「今のXは有名人や企業の宣伝にしか使われていない」というものがあります。これもガチ勢しかいない問題と関係しているのではないかと。

「もともとは素人のものだったのに」という言説ですね。その点はあまり気にしていなくて、病みツイをはじめとした粗くて本心っぽい内容の投稿が流れてこないアルゴリズムがむしろ問題だと思います。