亡くなった稲垣尋⽃君は「部の雰囲気を盛り上げてくれた」
だがこの説明の通りだとしても、学校が「頼んでいない」と言う外部運転手による運転の形跡があったことを見逃していたとの指摘は免れない。
「言動がおかしかった」と周辺の人が声をそろえる若山容疑者に出発前に会った寺尾顧問は、その異変を感じとれず、バスにも同乗しなかったため、生徒たちが感じていた異常な運転にも気づかなかった。事故を防ぐ最後の機会が失われたと言える。
「彼(寺尾顧問)とは事故後に一回だけ会いました。亡くなった稲垣尋⽃(ひろと)君がとてもいい子で、『部の雰囲気を盛り上げてくれて、それでみんなが強くなったんだ』と言ってボロボロ泣いてました」(知人)
いっぽう、10日の会見で寺尾顧問は、3年前に北海道で行なわれたインターハイの際、部員を乗せたワゴン車で会場を向かっている最中に、自分自身も自損事故を起こしたことを明らかにしている。これについて前出の知人が証言する。
「あの時、彼は体調が最悪でしたが他に運転する人もいないので、フラフラになって車を運転して事故を起こし、本人も腕を骨折するか何かのけがをしてます。それで病院で治療を受ける時にコロナに感染していることがわかったんです」
体調が悪い中で生徒を乗せて運転していたことは、生徒が以前にも危険な状態にあったという疑いが浮上する。こうした形で生徒が危険にさらされていることは、「全国どこでも起きている問題」との指摘もある。
他県で高体連代表まで務めた教員は、
「具体的な例は言えませんが、遠征で監督が自ら運転することや事故を起こすことは珍しくないです。大小問わずどこの監督も普通に経験していることなんじゃないでしょうか」
と漏らした。
「そういう事故を起こしても、結局学校や教育委員会も誰もかばってくれません。監督や顧問が最高責任者として一人で背負わなければいけないのです」
とも話す。
また当の蒲原鉄道の関係者も、
「2009年に大分県の大分自動車道で私立高校野球部のバスが横転し、生徒1人が死亡、42人が負傷した事故があり、運転していた教員が逮捕されました。その事故以降、学校行事では緑ナンバー(営業用バス)を使うという動きが広がりましたが、そういった意識がまた薄れていったんです」
と話す。













