経済効果以上のものをもたらした温泉むすめコラボ
だが和田さんは、「真尋ちゃん部屋にしたことで、稼働率が上がった」と振り返る。温泉むすめファンは部屋そのものに気持ちが向いているため、足音もさほど気にせず、むしろ気に掛けてくれることもあったそうだ。
ただし、誰にでもこの部屋を提供すればいいというものでもない。じゃらんや楽天などのOTA(オンライン旅行予約サイト)では、内容を詳しく読まずに予約する人もいるため、この部屋のことを知らずに予約した一般客が入ってしまうと、驚かせてしまう可能性がある。
そのため、真尋ちゃん部屋は基本的に電話かXのDMで予約を受けているという。
また、一般客室がオーバーブッキングした際には、大量のグッズをいったん外して、普通の部屋に戻したことも4、5回あったそうだ。あの部屋は、勢いだけで成立しているのではなく、かなり細やかな気遣いの上で運営されている。
それでも、手応えは大きい。
「リピーターは一般のお客さんより圧倒的に多く、年に何度も来ます」と和田さんは話す。宿泊者限定グッズも用意しており、絵柄の違いを目当てに何度も泊まりに来る人もいるという。また、ファンがSNSで自主的に発信してくれるため、広告宣伝費をかけずに認知が広がっていく効果も大きいそうだ。
さらに、温泉むすめファン同士だけでなく、観光協会や他の温泉地との交流まで広がった。
「温泉むすめファンのお客さんは何度も来ますが、その方々との交流も多く、今では観光協会の方も含めて、一緒に居酒屋に行くようになりました。私の誕生日は4月15日ですが、毎年、誕生日プレゼントやXで『誕生日おめでとう』メッセージがたくさんいただけます。
温泉むすめコラボを始めたことで一番すごいと思ったのは、若い世代の子が来てくれることもそうですが、温泉むすめがいる温泉地同士の交流も増え、お互い行き合うようになったり、他の温泉地の方と一緒に旅行に行くようにもなったことですね」
ここ最近は、温泉むすめ目当てではない若い世代の観光客も来るようになり、売り上げも前年比1.4倍ほどになっている実感があるという。
アニメやキャラクターをきっかけに、それまで縁のなかった土地に若い人たちが足を運ぶ。さらに、観光客と地元が一緒になって物語を育てていくことで、交流そのものが生まれていく。
温泉むすめは、経済効果という数字の側面だけでは測りきれない、かけがえのない効果を生んでいるようだ。
取材・文/ライター神山


















