当初のラストシーンは、鉄郎がただ悲しみに暮れるという展開だった

“ある世代”にとっては、たまらなくノスタルジックな気持ちにさせられる名曲がある。『銀河鉄道999(The Galaxy Express 999)』は、間違いなくそんな歌の一つかもしれない。

TVドラマ「西遊記」で流れる『ガンダーラ』『モンキー・マジック』などの大ヒットで、当時人気絶頂にいたバンド「ゴダイゴ」が、1979年7月1日にリリースしたシングルである。松本零士のSF漫画『銀河鉄道999』を原作とした、劇場版アニメ作品の主題歌として起用された。

『西遊記』(2008年3月19日発売、日本コロムビア)のジャケット。『ガンダーラ』、『モンキー・マジック』含む3作目のオリジナル・アルバムで、ゴダイゴの名を日本全国に知らしめることになった重要アルバムだ
『西遊記』(2008年3月19日発売、日本コロムビア)のジャケット。『ガンダーラ』、『モンキー・マジック』含む3作目のオリジナル・アルバムで、ゴダイゴの名を日本全国に知らしめることになった重要アルバムだ
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クレジットは、作詞は奈良橋陽子(英語詞)・山川啓介(日本語詞)、作曲はタケカワユキヒデ、編曲はミッキー吉野と記されている。チャート最高順位は2位、1979年度年間14位。当時の売り上げで60万枚を超えるヒットソングとなった。

この歌は「アニメ史に残る名曲」として、多くの人に愛されてきた。いったい何がそんなにまで琴線に触れたのか?

それは、この映画を観たほとんどの人が、主題歌が流れるラストシーンの印象を強く覚えているからだと言われている。少年が大人へと成長する過程を描いた物語であり、たくさんの子どもたちが観たアニメでもあった。

『銀河鉄道999』の原作者は、『男おいどん』『宇宙海賊キャプテンハーロック』など、数々の名作を生みだした漫画家の松本零士氏。写真は『銀河鉄道999[Blu-ray] 』(2009年9月9日発売、東映)のジャケット
『銀河鉄道999』の原作者は、『男おいどん』『宇宙海賊キャプテンハーロック』など、数々の名作を生みだした漫画家の松本零士氏。写真は『銀河鉄道999[Blu-ray] 』(2009年9月9日発売、東映)のジャケット

実は当初のラストシーンは、メーテルが去った後、鉄郎がただ悲しみに暮れるという展開だったという。ゴダイゴの事務所の役員だった加藤悠は、当時のことを振り返っている。

「子供たちが見るので、別れは確かに悲しいことではあるけれども、同時にそこには“希望”もあるんだと……。そうしないと絶望のまま終わってしまう。それで過去を振り捨てて明日に向かう、という設定にしたんです」

こうして映画のラストシーンは、この主題歌に合わせて変更されたのだ。