名もなき日本の若者たちが命を懸けて70万人の命を救った
「だからこそ我々は、この宝物が、かつてこれを贈ってくださった日本の皇室や日本人の手によって修復されることを強く願っています。来年、当クラブは創立175周年という大きな節目を迎えます。もしその機会に、この傷跡がかつての同盟国の手で修復され、新たな歴史の層が重なるならば、我々にとってこれほど誇らしいストーリーはありません。我々はこの歴史を決して忘れることなく、修復された壺とともに、未来の二国間関係の発展へと繋げていきたいのです」
第二次世界大戦の爆撃という新たな悲劇を乗り越え、欠けた台座を見せながらも優美な姿を保つ昭和天皇の七宝焼の真っ赤な花瓶。それは、100年の時を超えて、名もなき日本の若者たちが命を懸けて70万人の命を救い、その献身が世界からどれほど深く感謝されていたかという誇り高き歴史を、今も地中海の島で我々に静かに語りかけている。
文/小倉健一













