大会エントリーから宿泊や航空券も自分たちで

にこやかに笑う2人がペアを組むに至った背景には、それぞれの転機が重なっていた。

「当時、私はビーチバレーを辞めようとしていた時期で、前向きになれなかったんです。そんなときに亜美さんから大会に誘ってもらい、一緒に出た大会で初めて楽しいと思えたんです。後ろ向きな思考の私でも、亜美さんといると『できないこともできる』と思いました」(福田)

白幡も、福田のプレーや姿勢に強い魅力を感じていたという。

「心からビーチバレーに楽しそうに取り組んでいるすずの姿がいいなと、前々から思っていました。本当は大学卒業のタイミングで最初に組みたかったのですが、すずは別なチームメイトと組むことが決まっていて。そっと控えていました(笑)」

こうして2人は別々のペアで活動していたが、同時期にペアを解消する。

「そこで私からすずに声を掛けてみたら、すずも同じように思ってくれていて、びっくりしました! すごく嬉しかったですね(笑)」(白幡)

(左から)福田選手、コーチ、白幡選手(写真/本人提供)
(左から)福田鈴菜選手、コーチ、白幡亜美選手(写真/本人提供)

そして、2人は2024年秋ごろに「あみすず」ペアを結成。「ジャパンツアー・ワールドツアー優勝」を目標に、国内外の大会へ継続的に挑戦している。

しかし、競技生活の裏側には、地道なやりくりの積み重ねがある。ビーチバレーは遠征費の負担が大きく、日々の活動は常に資金との戦いだ。

「遠征では交通費、宿泊費、大会へのエントリー費、そしてコーチ代がかかります。私たちは2人でコーチをお願いしているため、それぞれがその費用を負担しています。大会に帯同してもらう場合は、コーチの交通費や宿泊費もかかりますし、日常的な指導費用も必要になります」(白幡)

実業団などと違って、選手がほぼ全ての費用を自己負担で捻出する。楽しいだけでは続けていくのが難しい世界ではあるが、2人の表情は明るい。最近の失敗も「いい勉強になりました」と明かす。

「今春、オーストラリアに遠征した際、シドニーから次の会場への移動で、本来は車で行ける距離だったのですが、飛行機を予約してしまい、2人で3万円ほど余計にかかりました……。おかげで『絶対に優勝して賞金勝ち取るぞ!』と燃えましたね(笑)」(白幡)

お金以外の負担も決して小さくない。競技運営に関わる手続きの多くも彼女たちが担っている。

「宿泊先や移動手段はすべて自分たちで手配しています。大会へのエントリーも自分たちで行ないますが、海外の大会は英語で案内が届くため、アプリで翻訳しながらという感じです……(笑)。スケジュール確認や現地とのやりとりも含め、すべて自分たちで対応しているので、いい意味で経験値が増えますね!」(福田)

彼女たちの活動資金を支えているのは、勤め先からの給与だけでなく、それぞれについているスポンサーからの支援もある。現在、白幡にはエレクトロニクス専門技術商社の「RYODEN」と、福田には自動車用樹脂部品の設計・製造を手がける「イオンインダストリー」とスポンサー契約を結んでいる。

しかし、「あみすず」ペアとしてのスポンサーはまだ決まっていない。「ぜひお待ちしてます!」と2人は笑いながら声を弾ませた。