人はきっちりしていないことの方が多い

人の気持ちや行動を明らかにすることは、どんなビジネスにとっても大切です。「こういうとき、人はこうなる」というルールをたくさん見つけておけば、商品・サービスをヒットさせやすくなります。

でも、気をつけておきたいのは、人の気持ちや行動のルールは変わりやすいということです。合理的に考えたら「こうすれば、必ずこうなるはず」といった理屈が、いつでも人に当てはまるわけではありません。楽しさやストレス発散を求めて、合理的ではないムダづかいをしたい人や場面があるように、理屈が通じないことは少なくないでしょう。

見ない・読まない・考えない? 人が何かを「パッと買う」ときの複雑で単純な行動原理とは?_1
すべての画像を見る

人は直感や感覚でモノを選びがち

例えば、人は売り場も、商品も、広告も、そんなによく見ません。広告の小さな文章や、パッケージの裏面の情報まで、ちゃんと読む人はほとんどいません。

会社からすると、「ちゃんと書いているのに」「もっとよく読んでよ」と思いたくなるかもしれませんが、消費者の1人になって考えてみれば、自分もそんなによく読んでいないことが多いはずです。

よく見ずに、ちゃんと読まずに、第一印象やイメージでパっと決めて、商品・サービスを選ぶことの方が多いです。その結果、会社は「良い商品をつくったのに、なぜか売れない」「広告で情報を発信しているのに、どうして伝わらないんだろう」と頭を悩ませることになりがちです。人は、いつでもどこでも、きっちりしているわけではないのです。

あるお店で、商品の値段の表示を「税抜」から「税込」に変えました。もとの税抜の表示でも、レジで買うときには、もちろん税込で計算されます。だから、最初から税込で表示した方が、お客にとってわかりやすいだろうと考えたのです。

ところが、「税込」表示にしたとたん、その店を利用することをやめて、他の店に行くお客が増えてしまったといいます。それは、よく見ずに、パッと見で「あれ、値上げしてる」と勘違いした人がたくさん出たためでした。それくらい、お客はきっちりしていないのです。