入門当時は“トカちゃん”を知らなかった
――小6で入門した竜虎選手に、他の子どもたちとは違う本格的なトレーニングさせていたそうですね。初めからモノが違った?
渡嘉敷勝男(以下、渡嘉敷) その時のことはあまり覚えてないんです(笑)。まぁ普通の子供は健康のために通ってるから自由に遊ばせてたんだけど、多分やれると思ったから(本格的に)やらせたんでしょう。
石井竜虎(以下、竜虎) こっちはプロになる気もない、というかプロの存在も知らなかったからあっちに混ざりたいなーって思いながらやってましたよ。
2004年12月16日生まれ、東京都出身。171センチ。小学6年生で渡嘉敷ボクシングジムに入門し、15歳でJCLとUJの中学生チャンピオン同士が戦う第1回キッズボクシング統一王座決定戦65キロ級で勝利し、世代の日本一に。2022年にプロデビュー。2025年度東日本ウェルター級新人王、全日本ウェルター級新人王に輝く
――渡嘉敷会長は80年代から90年代にかけてタレントとしても大活躍でしたが、竜虎選手はそのことを知らない……?
竜虎 全然知らないです。会長が世界チャンピオンだったことも知らなかったですから。ジムに飾ってある現役時代の会長の写真も誰?って感じ(笑)。
小学生の頃、ジムでストレッチしてたらめちゃくちゃでかい声の人が入ってきて、いきなり「一緒に世界目指そうぜ」とか言ってきたんですよ。
なんだこの人って思ってたんですけど、母親やおばあちゃんは“トカちゃん、トカちゃん”ってみんな知ってて。YouTubeで会長の現役時代の動画を見たら、今と全然違うんで見方が変わりました。
――現役時代の会長のスゴイと思うところは?
竜虎 やっぱり手数ですね。会長はめちゃくちゃファイター。ライトフライ級でも背の低い方(156センチ)なのに、とにかく中に入ってずっと手を出すんですよ。
ボクシングって一番多い手数でもワンツースリーフォーまで。それが会長は延々と手を出し続けるんです。それがどんな相手でも変わらないし、最後はスタミナで競り勝つ。一番心が強い人だと思います。どれだけ強い相手でも真っ向勝負でいくんで。
――ただ声が大きいだけの人ではなかった。
竜虎 本当ですよ。ボクシング経験がないのに始めて3年ちょっとで世界チャンピオンになってる。しかも、今と違って当時はボクシング団体って2つ(WBA、WBC)しかないのに、それで5度も防衛してるんですから。そのスゴさは自分がプロになってさらにわかりました。
渡嘉敷 私は本当に才能がなかったから練習量だけでもこなさないと周りの才能ある人、とくに沖縄の先輩の具志堅(用高)さんには追いつけませんから。
竜虎 練習が大事なのはわかるけど、ただ、もうちょっと僕に対して伝え方があったと思うんですけど……(笑)。














