減税には時間がかかるが、増税はやり遂げる

<ガソリン補助金3つの闇>「1リットル170円」のヤバすぎる内訳…年間1400億円“二重取り”と消えた17円…9兆円補助金は誰のために_3

石油業界と政治の関係も見逃せない。石油元売り各社でつくる石油連盟は、自民党の政治資金団体に毎年多額の献金を行っている。補助金は毎週の単価を経産省が決定し、元売りに振り込まれる。

政治献金で「声を届け」、天下りで官との人脈を保ち、補助金という形で国費を受け取る。この三角形は閉じている。

▼第三の闇:なぜ減税ではなく補助金なのか

「減税には時間がかかる。だから補助金で対応するしかない」——これが政府の一貫した説明だった。しかし2025年、この言い訳は崩れた。

8月に野党が暫定税率廃止法案を提出すると、11月28日に国会で可決、12月31日に廃止が実現した。提出から廃止まで約4ヶ月だ。「時間がかかる」はずの減税が、政治的意志さえあれば短期間で実現することが証明された。

4年間にわたって「時間がかかる」と言い続けたのは、制度の問題ではなく、与党の意志の問題だったのだ。

非対称性はさらに明白だ。消費税は2012年に10%への引き上げが決定し、2度の延期を経て2019年に実施された。7年かけても必ずやり遂げた。

防衛増税は法人税が2026年から、所得税が2027年から、複数年にわたる段階実施が粛々と進む。増税は「時間がかかっても」最終的に必ず実行する。減税は「時間がかかる」と言って何年も動かない。同じ「時間がかかる」に、これほどの非対称がある。

補助金であれば、すべてが行政の手の中にある

「補助金の方が即効性がある」という論法も崩れる。2025年5月の補助金再開時、政府自身が「5月22日からすぐ10円下がるわけではない」と説明した。在庫の入れ替えに時間がかかるため段階的な反映になるという。補助金も即効ではないのだ。

問題の本質は速さではない。「蛇口を誰が握るか」だ。減税であれば、税率は法律で変わり、政府の裁量は介在しない。元売りへの資金フローも発生しない。補助金であれば、週ごとの単価設定、事業者の指定、基金の管理——すべてが行政の手の中にある。政官業の三角形が機能するのは、補助金という仕組みがあればこそだ。

9兆円。

2022年に「緊急措置」として始まった補助金が、4年間で積み上げた金額だ。緊急が恒久になり、一時的が恒常になる。この国の「例外」はいつもそうして永続する。

Tax on Taxで年間1,400億円を国民から重く取り、補助金という形で元売りを経由して薄く返す。その過程で天下りOBが管理する協会が基金を握り、調査費が非公表のまま消える。そして政府は「国民のための緊急措置」と呼び続ける。