『音楽の日』終了後、“男闘呼組”がTwitter(現X)のトレンドに
『音楽の日』の収録が始まる。ステージの上、昭次の手にはオレンジのグレッチが握られていた。
「兄貴がいなければギターも音楽も始めてなかった。きっと、男闘呼組が再始動することも、このステージに立つこともなかった。兄貴はもういないから、『一緒にバンドをやろう』って約束は果たせないけど、俺には兄貴が遺してくれた、このギターがあるよ。
このギターを弾いてる時は一緒に演奏してるって感じるんだ。兄貴、そこにいるんだろ。俺にはわかるよ」
『音楽の日』放送日の正午、男闘呼組は翌年2023年8月までの期間限定で活動し、10月15日、16日には東京ガーデンシアターで再始動ライブを開催することを発表する。
昭次は、こんなコメントを寄せた。
「今日までに沢山のディスカッションやリハーサルを重ねてきましたが、4人それぞれの時間が過ぎ、より強固になった個性は未だにまとまる事がありません。
でもそのぶつかり合いが『男闘呼組』なのだと改めて気付かされました。いくつになろうとも、挫折があろうとも、社会や家庭に責任を持ちながら、夢を追う事は出来るのだと、僕らを見て何か感じて頂ければ幸いです」
『音楽の日』の放送を昭次は、勤めていたとんかつ屋の『とんとん』で見た。夜の営業が始まった直後、ホールスタッフが成田に伝える。
「成田さん、出るんじゃないですか? 」
「あ、そういえば」
『音楽の日』終了後、“男闘呼組”がTwitter(現X)のトレンドに上がった。
同番組の1年前、健一は不在だったものの、昭次、和也、耕陽の3人は、谷川に招待され東京ガーデンシアターで行われたMISIAのコンサートを観覧し、谷川に「この会場が男闘呼組再始動のステージになります」と告げられている。
『音楽の日』に出演するまで「不安が大きかった」と耕陽が言う。
「だって、東京ガーデンシアターのキャパって8000人だよ。2~300人入るライブハウスでいいんじゃないって。『俺たちのこと待ってくれてる人、そんなにいるの?』って思うよ。だって30年だよ、30年。普通、待てないよ、そんなに長い時間」
再始動ライブとなったツアー『1988』には、15万を超える申し込みが殺到し、東名阪追加公演を含め、全7公演で計6万人の動員を記録することになった。
多くのファンが、男闘呼組を待っていた。30年という歳月をものともしないで。













