ネット検索できない屋号

そうしたら、京都・二条の三月書房(2020年閉店)・店主の宍戸立夫さんがメルマガで、「最近は『ころから』だとか、『とほん』だとか、ネット検索できない屋号が増えてるが、どういうつもりだ」と書いてくれた。

いやー、うれしかった。京都で浪人時代を過ごしたぼくにとって三月書房は憧れの書店。唯一無二の書店と言って過言ではない。その宍戸さんが、「ころから」という名を覚えてくれただけでなく、メルマガ読者へお披露目してくれたのだ。こんな喜びはない(もっとも「どういうつもりだ」というのは、ぼくが行間から読みとったもので、はっきりそう書かれていたわけではない)。

写真はイメージです 写真/Shutterstock
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とはいえ、確かにネット検索できない。いちばん苦労するのはXなどSNSの「エゴサーチ」ができないことだ。ためしにやってみても「小学校のころから」「独身のころから」がヤマのようにヒットしてしまう。が、あるときから考え方を変えた。エゴサによってメンタルをやられることもあるのだから、最初から「できない」となればメンタルも安泰だ。

さて、社名は決まった。そうすると、ぼくはロゴマークの制作に取りかかった。そのため、旧友の「なみへい」こと「こばやしまちこ」さんに連絡を取った。

彼女はイラストレーターが本業で、『走れ!やすほ にっぽん縦断地雷教室』(なみへい名義、上泰歩著、ピースボート編、国土社、2005年)など、課題図書に選定された児童書の装画で知られている。

そのなみへい氏(ちなみに、磯野家の波平に似ているということであだ名された。しかも高校時代に……)と何度か会って、ロゴイメージを打ち合わせした。

ひとつには、晶文社のサイのイメージがあった。ぼくが大学生だった80年代、晶文社はとても元気な出版社で、サイのマークは輝いて見えた。あんなふうに、青年に憧れられるような出版社になりたいと、志高く思っていることを話した。

もうひとつ、蔵書印のイメージを出してほしいと伝えた。蒐集家が蔵書に捺す印影のイメージ。出版社であることを、遠回りに説明する的な感じと言うと、なみへい氏は「ちょっとなに言ってるか分からない」という顔になった。

とはいえ、さすがである。数日後に「こんな感じ?」と試作品が届いた。瞬間的に「方向性に間違いはない」と思った。

が、少し違う。なにかが違う。

会って説明した。